カタール首長がバグダッドを訪問、総額70億ドルの投資MOU締結

(イラク、カタール)

ドバイ発

2023年06月26日

カタールのシェイク・タミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ首長が6月15日、イラクの首都バグダッドを公式訪問し、イラクのムハンマド・シヤーウ​​・スーダーニー首相と面会した。同日付のイラク国営通信によると、両氏はイラクとカタールの両政府間における政治、経済、エネルギー、投資に関する包括的な共同宣言に署名し、さまざまな分野においてMOU(覚書)が締結された。

6月17日付のイラク国営通信によれば、ファディ・アル・シャンマリ首相顧問は、今回締結されたMOUにはエネルギー・電力分野、住宅・都市開発分野、ヘルスケア分野のものがあることを明らかにした。また、これら3分野のプロジェクトへの総投資額は約70億ドルと推定され、いずれのプロジェクトも2028年までに完了する予定と述べた。

同氏によると、エネルギー・電力分野では、イラクへの原油・液化ガス供給に関する合意に加え、電力・建設分野に関するMOUや、石油合弁会社設立と製油所建設に関する合意も締結されたという。

住宅・都市開発分野では、近代的なインフラを享受できる2つのモデル住宅都市を開発する協定が締結された。各都市の収容人数は5万人に達し、2つの都市の合計収容人数は10万人となる。さらに、イラク国内の推定1万室とされるホテル空室不足の解消のため、イラクの複数の県で5つ星ホテルを含む多数のホテルを建設、開発することで合意した。

ヘルスケア分野においては、病院の管理運営を行うカタールの企業と、今後数カ月以内に開設される多数の新病院の運営を行うことで合意した。また同氏は、カタールの民間医療制度とイラクの医療部門との連携によって、イラク国民に提供される医療の質を向上させることが、これらの協定の目的だと述べた。

カタール政府はイラクへの投資を進めている。国営エネルギー会社のカタールエナジーは、フランスのエネルギー大手トタルエナジーズによりイラクで進められている100億ドル規模の天然資源開発計画「ガス成長統合プロジェクト」にも参画している(2023年4月7日記事参照)。

(オマール・アル・シャメリ、太田尭久)

(イラク、カタール)

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