ウクライナとロシアの外相が相次いでアフリカ訪問

(アフリカ、ウクライナ、ロシア)

中東アフリカ課

2023年06月08日

ウクライナとロシアの外相によるアフリカ歴訪が続いている。ウクライナのドミトロ・クレバ外相は5月22~29日にモロッコ、エチオピア、ルワンダ、モザンビーク、ナイジェリアの5カ国を訪問し、ナイジェリアではボラ・ティヌブ新大統領の就任式(2023年5月31日記事参照)に出席したほか、アンゴラのテテ・アントニオ外相と会談した。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相も29~31日、南アフリカ共和国のケープタウンで6月1~2日に開催されたBRICS外相会議を前に、ケニア、ブルンジ、モザンビークを訪問した。

クレバ外相のアフリカ訪問は2022年10月にセネガル、コートジボワール、ガーナ、ケニアを訪問して以来2回目。25日にエチオピアの首都アディスアベバで行われたアフリカ連合(AU)の前身のアフリカ統一機構(OAU)創設60年記念演説で、「ロシアのウクライナ侵攻に中立ということは、近くで起こり得る国境の侵害や犯罪にも中立であることを示すことになる」として、アフリカ諸国の中立的な姿勢に警鐘を鳴らした上で、これまでウクライナがアフリカ諸国にインフラや食糧安全保障面で支援を行ってきたことを強調した。また、同外相は2023年中にアフリカ10カ国に大使館を設立予定だと明らかにしたほか、「ウクライナ・アフリカ・サミット」の初開催を計画していることを公表し、今後も「相互尊重、相互利益、相互恩恵という3つの相互原則に基づく新しい質のパートナーシップを発展させたい」とした。

ラブロフ外相は2023年に入って2回目のアフリカ訪問となり、ケニアと新たな通商協定を締結するなど、貿易・投資など経済面での協力を強化させることで各国と一致したほか、モザンビークと軍事技術協定に関する会合を再開させるとするなど、安全保障についても引き続き連携していくとした。ウクライナ情勢については、欧米諸国による対ロシア制裁やウクライナへの武器供給を批判し、アフリカ諸国に対して同様の立場を強いることは主権的平等に反するとした。

ラブロフ外相のアフリカ歴訪中の31日には、エリトリアのイサイアス・アフェウェルキ大統領がロシアを訪問し、ウラジーミル・プーチン大統領と会談。エリトリアは国連のロシア非難決議に反対しているアフリカ2カ国のうちの1つで(2023年2月27日記事参照)、1月にはラブロフ外相が同国を訪問していた。なお、ロシアは7月26~29日に2回目の「ロシア・アフリカ首脳会議」を予定している。

(梶原大夢)

(アフリカ、ウクライナ、ロシア)

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