米企業の2023年1~5月の倒産件数、同期比で2011年以降最多、一般消費財分野が最多
(米国)
ニューヨーク発
2023年06月14日
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスによると、米国では金利上昇や景気減速を背景に、多くの企業が苦境に立たされており、企業の倒産件数は上昇傾向にある。同社が毎月追跡している米国企業の倒産件数(注)によると、5月は54件だった。これにより、2023年1~5月の累計倒産件数は、前年同期比2倍超の286件に増加し、2010年同期の402件に次ぎ、2011年以降では最も高い件数を記録した(添付資料図1参照)。
同社によると、5月の大型倒産案件には、オンラインメディア企業のバイス・メディアや、ホームセキュリティーシステムを提供するモニトロニクスなどが挙げられる。5月中旬には、わずか2日間で少なくとも7社が連邦破産法第11条の適用を申請した。2日間に記録された倒産件数は、5,000万ドルの負債を持つ企業を集計したブルームバーグのデータによると、2008年以降最多となった。金利上昇があらゆる業種の企業に影響を与えており、融資や債券の借り換えがより困難になっているほか、企業幹部は投資家や債権者からより厳しい目を向けられているという(ブルームバーグ5月15日)。
業種別に見ると、小売りを含む一般消費財の倒産件数が37件と最多だった(添付資料図2参照)。このうち、10億ドル以上の負債を抱えた倒産には、生活雑貨販売大手のベッド・バス・アンド・ビヨンド、パーティー用品専門店のパーティーシティーが含まれる。会計事務所BDO(Binder Dijker Otte)によると、2023年に倒産を申請した小売業者の大半は、主に裁量的な商品を販売しており、インフレに対処する必要がある消費者にとって優先度の低い商品だったとしている(フットウエアニュース6月8日)。
こうした傾向について、企業の財務状況を評価する調査会社ラピッド・レイティングスのジェームズ・ゲラート会長兼最高経営責任者(CEO)は「インフレ、高金利、資金へのアクセスが限られている現在の環境は、大量の在庫を抱え、製品の多様性が限られる高レバレッジ企業にとって、問題を悪化させている。これらの小売業者は既に手元の資金を使い果たしており、破綻のリスクがさらに高まっている」との懸念を示している(フォーブス5月3日)。
(注)倒産申請時に資産または負債が1,000万ドル以上の民間企業、倒産申請時に200万ドル以上の資産または負債を持つ上場企業、公債を持つ民間企業が含まれる。
(樫葉さくら)
(米国)
ビジネス短信 f9dc6afd96c1ab1b