政府、テクニカル・テキスタイル分野の高度化を重視

(インド)

アーメダバード発

2023年06月14日

インドのピユシュ・ゴヤル商工相は6月8日に開催された「国家テクニカル・テキスタイル・ミッション」(NTTM)の第6回ステアリング会議で、「インドのテクニカル・テキスタイルの研究、技術革新を促進するため、高付加価値化と大量生産化の可能性がある製品を特定する必要がある。このためには、国際的ベンチマーク、業界との協議、需要評価が不可欠だ」と述べた。同会議では、ジオテック、プロテック、産業テック、スポーツテック、ビルドテック、持続性テキスタイル、特殊繊維(炭素繊維、超高分子ポリエチレン)などの主要戦略繊維分野の20件、約6億1,090万ルピー(約10億3,853万円、1ルピー=約1.7円)相当の研究開発プロジェクトが承認された(インド政府広報6月8日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

同商工相は会議で、自動車や航空、インフラ、医療分野で効率性、先進性、持続可能性を高めるため、高強度軽量テクニカル・テキスタイルが代替使用可能な分野を特定すべきだとし、NTTMは優先分野の研究開発提案を多く集め、繊維省、科学技術省、商工省などの関係省庁が協力し、大規模なアウトリーチ活動で研究開発を進めることは時代の要請だと強調した。また、有望私立工科大学が繊維研究機関連合会(TRA)や政府機関と協力し、NTTMスキームを広く理解し、最大限活用することで、インド全土での研究開発エコシステムの構築を急ぐべきだと述べた。

また、NTTMの下で省庁横断で行われたテクニカル・テキスタイル製品の採用、使用義務化に向けた取り組み、鉄道省、防衛省との間で行った同製品の使用拡大に向けた協議などについて振り返った。31品目のテクニカル・テキスタイルに関する「品質管理令」(QCOs)が2023年4月10日に発行されたことにも触れた。

インド繊維省の調査によると、2019年度のインド繊維産業の市場規模は7兆1,140億9,000万ルピー。そのうちテクニカル・テキスタイルの市場規模は1兆2,294億3,000万ルピー、全体のシェアに対して17%程度だという。同産業は2024年度には1兆8,274億2,000万ルピー、同28%程度に成長すると予測されている。繊維省は2021年9月に「繊維分野の生産連動型インセンティブ(PLIスキーム)」を導入し、テクニカル・テキスタイルをはじめとする10カテゴリーに対して、1,068億3,000万ルピー規模のインセンティブ予算を供与している(2023年6月9日付地域・分析レポート参照)。

(古川毅彦)

(インド)

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