2023年のアフリカのGDP成長率は4%の予測、アフリカ開発銀行が報告

(アフリカ)

中東アフリカ課

2023年06月12日

アフリカ開発銀行(AfDB)は5月24日、報告書「アフリカ経済見通し2023外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。同報告書は、アフリカの2023年の実質GDP成長率を4.0%、2024年は4.3%と見込む。世界的な金融不安やロシアによるウクライナ侵攻に伴うサプライチェーンの混乱などの影響を受けた2022年の3.8%からは、回復傾向に向かう見通しだ(添付資料表1参照)。

地域別にみると、東アフリカが2022年の4.4%から2023年に5.1%、2024年に5.8%に回復することが見込まれる。プラス成長の要因として、コモディティ価格の下落が挙げられているものの、干ばつや治安動向が下振れリスクになるとされる。西アフリカは、2022年の3.8%から2023年に3.9%、2024年に4.2%に上昇する見込みだが、相次ぐテロなどが不確実性を高めるとしている。北アフリカについては、干ばつや石油生産の動向に左右されるものの、2022年の4.1%から2023年に4.6%、2024年に4.4%と4%台を維持するとしている。南部アフリカは、地域最大の経済国である南アフリカ共和国で相次ぐ停電もあり、他地域と比べると低水準の成長が続くとみられ、2022年の2.7%から2023年は1.6%へ下がるものの、2024年には2.7%に回復すると見込みだ。中部アフリカは、コモディティ価格の下落の影響で、2022年の5.0%から2023年に4.9%、2024年に4.6%と下降傾向を見込んでいる。

主要産業グループ別(添付資料表2参照)にみると、観光業が中心の経済圏については、2022年は新型コロナ禍の反動により8.4%と大きな成長がみられたが、欧米諸国の経済低迷もあり、2023年は4.9%、2024年は4.4%に低下すると見込みだ。石油輸出国は、ロシアによるウクライナ侵攻以降の石油価格の上昇のなか、2022年の4.0%から2023年に4.3%、2024年に4.1%と見込む。特にリビアやナイジェリアにおいて安定した石油生産が実現されれば、高い成長が見込まれるとしている。その他の資源国については、コモディティ価格の下落により、2022年の3.0%から2023年に2.4%に低下するが、2024年には3.5%に回復するとしている。非資源国は、経済構造が多角化されているため外的ショックに比較的強く、2022年の4.4%から2023年に5.0%、2024年に5.6%と高い成長率を維持するという。

そのほか、消費者物価上昇率(年平均)については、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う食料・エネルギー価格の上昇や米ドルに対する通貨安もあり、2022年の14.2%から2023年に15.1%に上昇するとみている。債務については、食料・エネルギー価格の上昇に伴う資金需要の増大、金利上昇による債務返済コストの高騰、為替レートの下落などにより、公的債務残高のGDPに占める割合は2023年以降も65%前後で高止まりする見込みだ。

(梶原大夢)

(アフリカ)

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