スポーツ通じた日ASEAN協力の可能性、Jリーグなどが意見交換
(ASEAN、日本)
アジア大洋州課
2023年06月13日
東京で開催された「日ASEANビジネスウィーク2023」の一環として、日本とASEANのスポーツ・ビジネス関係者によるパネルディスカッションが6月6日に開催された。日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)や、ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ(Bリーグ)、カンボジアプレミアリリーグ、ヤンマーホールディングス、インドネシアの実業家らが登壇し、スポーツを通じた日ASEAN協力の強化について意見を交わした。
パネルディスカッションではまず、ASEANで人気のスポーツとしてサッカーが取り上げられた。去る5月開催の東南アジア競技大会(注)でサッカーのインドネシア代表が優勝した際、ジャカルタ中心部で大規模な凱旋(がいせん)パレードが行われるなど、サッカー熱は高い。カンボジアではサッカーが国内で初めてプロリーグ化され、2022年3月に開幕を迎えた。同リーグ運営会社の最高経営責任者(CEO)は日本人が務めており、クラブのオーナーにも複数の日本人が名を連ねるなど、日本との関わりも大きい。日本のJリーグも2012年にアジア戦略を本格的に開始し、ASEANからの多くの選手を受け入れるなど、交流を図っている。
また、バスケットボールはフィリピンやインドネシアで人気があり、「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」は日本とフィリピン、インドネシアで共同開催される。日本のBリーグは2020年ごろからアジアとの連携を強化し、ASEANからはフィリピンとインドネシアの選手が同リーグに参戦している。
スポーツ分野でASEANから日本に期待することとしては、インドネシアの実業家は運営にかかるノウハウ移管を挙げた。インドネシアのクラブオーナーは、以前は政治家が多かったが、最近は実業家に変わってきているという。クラブ運営をビジネス化するに当たり、金融機関からの資金調達や、オフシーズンを含めた収益化などの仕組みづくりなどを日本から学びたいとした。また、人材育成面でも日本への期待が示された。選手やコーチだけでなく、クラブ運営に当たるオーナーやスタッフの育成も必要だと指摘した。
企業のブランドファン獲得に貢献
ASEANのスポーツ産業への企業参入についても、意見が交わされた。ASEANのサッカーなどのスポーツ支援は、企業ブランドのファン獲得や認知向上につながるとのメリットが指摘された。カンボジアでは、特に人口の多くを占める若者層へのPRでサッカーは有望なコンテンツになると紹介。例えば、選手への自社製品贈呈で宣伝効果を得られるほか、クラブのSNSを通じた若者層へのテストマーケティングも可能だという。
(注)東南アジアのオリンピックとも呼ばれる2年に1度のスポーツの祭典。第32回東南アジア競技大会(SEA GAMES 2023)は5月5日から17日まで、カンボジアで開催された(2023年5月26日記事参照)。
(庄浩充)
(ASEAN、日本)
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