STマイクロエレクトロニクスと米グローバルファウンドリーズ、フランスに300ミリウエハーの工場新設

(フランス、スイス、米国)

パリ発

2023年06月13日

スイス半導体メーカーのSTマイクロエレクトロニクス(ST)は6月5日、米国の同業グローバルファウンドリーズ(GF)と共同で、2022年7月に発表していたフランス・グルノーブル市近郊のクロール市で300ミリウエハーの製造工場の新設に関する契約の完了を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

総投資額は約75億ユーロ。同日に新工場の稼働が開始し、契約の調印式にはフランスのブリュノ・ル・メール経済・財務・産業およびデジタル主権相が出席し、政府が国家投資計画「フランス2030」の中で半導体産業支援に充てる55億ユーロのうち、両社の新工場建設に最大で29億ユーロを助成すると発表した(政府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

同支援措置は、EUで4月18日に暫定的な政治合意に達した「欧州半導体法案」の目標に沿ったもので(2023年4月20日記事参照)、4月28日に欧州委員会の承認を得た。同プロジェクトにより、2028年までにフランスでのウエハー生産能力を年間62万枚に増強し、欧州の現在の半導体生産能力を約6%増加させ、20~65ナノメートル(nm)のテクノロジーノードでは41%拡大することで、半導体需給の逼迫緩和を目指す。

両社は電力・水の消費量や、二酸化炭素(CO2)排出量、リサイクルなど環境面で高い水準の配慮をするとともに、1,000人の雇用を創出する。また、政府は両社に対し、国家主権や国益、零細・中小企業のニーズに対応するため、年間生産能力の5%を上限に、幾つかの受注契約に優先順位をつけるよう要請した。

GFのトーマス・コールフィールド最高経営責任者(CEO)は「ル・メール大臣や彼のチームによる12カ月以上にわたる尽力と支援により、本日の節目を祝うことができた」とフランス政府に感謝の意を述べるとともに、「STとの協力により、急速に進化する欧州の技術エコシステムでGFのプレゼンスをさらに強化し、経済規模を生かし、資本効率の高い方法で生産能力を増強することができる」とコメントした。

(山崎あき)

(フランス、スイス、米国)

ビジネス短信 e8a75b5fe2001375