2023年第1四半期GDP成長率は前期比0.5%、内需が牽引
(スイス)
ジュネーブ発
2023年06月06日
スイス連邦経済省経済事務局(SECO)は5月30日、2023年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率(注1)を前期比0.5%(季節、スポーツイベント調整後、注2)と発表した(添付資料表1参照)。内需は堅調に伸び、輸出の増加と共に、製造業は前期のマイナスからプラスに転じた。
第1四半期のGDP成長率を需要項目別にみると、政府消費支出は横ばいとなった一方、個人消費支出は前期比0.6%増となった。建設投資は0.1%減と微減だった。設備投資は、研究開発や自動車への投資の増加により、2.6%増と急伸した。個人消費支出や投資に支えられ、内需は0.9%増と過去平均を上回る伸びを記録した。金融サービスの輸出減少の影響を受けて、サービスの輸出は0.9%減となった。一方、財、サービスの輸入はそれぞれ5.4%増、0.7%増となった。
産業別にみると、特に運輸や観光などのサービス部門が著しく伸びた(添付資料表2参照)。旅行の回復が続き、運輸・通信業は前期比0.7%増、宿泊・飲食サービス業は1.0%増と平均を上回る伸びになった。小売りは0.4%減と減少したが、卸売りや乗用車販売の成長に支えられ、卸売・小売業は2.1%増となった。サービス部門は、金融・保険業(2.0%減)を除いてすべての業種でプラスの成長となり、ビジネス関連サービス、保健衛生・社会事業、芸術・娯楽・レクリエーション業はそれぞれ、0.2%増、0.7%増、1.2%増だった。世界経済の減速の影響から3期連続マイナス成長となっていた製造業は、0.3%増とプラスに転じた。うち、スイス経済を支える化学・医薬品製造業は0.6%減と落ち込んだが、他の産業の伸びが製造業の成長を支えた。
(注1)スイス国立銀行(SNB)は2023年第1四半期に国民経済計算の各段階で使用される新たな統計調査を導入したが、統計処理時点での応答率が低かったため、今後数四半期中に通常より大幅な修正が生じる可能性がある。
(注2)全て季節調整値。ただし、「GDP」「サービス輸出・輸入」「芸術・娯楽・レクリエーション業」については、季節調整に加えてスポーツイベント調整後の数値。
(竹原ベナルディス真紀子)
(スイス)
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