白山工業、日本財団のCCSモニタリングに関する石油メジャーとの連携技術開発案件に採択

(日本、米国、フランス、ブラジル)

ヒューストン発

2023年06月12日

白山工業(本社:東京都府中市)は6 月12日、同社の「光ハイブリッド型海底ケーブルによる海底常設型二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)貯留層モニタリングシステムの開発」が「海洋石油・天然ガス分野における脱炭素化等推進に係る日本財団とディープスター(注)連携技術開発助成プログラム」に採択されたと発表した。

カーボンニュートラルに向けたCCSの技術課題として、地下に貯留されたCO2の安全性を長期間、常時監視する仕組みが求められている。多くのCO2貯留サイトは海底下にあり、電源供給が難しく、かつ電子部品の長期安定性に課題があったとされている。発表によると、白山工業はこれらの課題を解決するため、独自の高度な計測技術により、電子部品を用いず、光技術によって微小振動を長期間連続的に捉える4D観測システムを開発する。また、発震船による断続的なアクティブ探査に加え、新たに海底震源のフィージビリティースタディーを行い、連続アクティブ探査の可能性を検討する。

同プロジェクトには、解析手法の開発に地球科学総合研究所(本社:東京都文京区)が参画し、ディープスターからはシェブロン(米国)、シェル(英国)、トタルエナジーズ(フランス)、ペトロブラス(ブラジル)がサポーターとして参画する。

助成プログラムは、日本財団とディープスターとの「海洋石油ガス分野の脱炭素化推進に向けた連携技術開発に関する覚書」(2021年12月8日記事参照)に基づくものだ。日本財団は2023年5月5日にこの事業を含む10件の新規採択事業を発表していた(2023年5月9日記事参照)。

白山工業極限環境ロボット研究所極限環境センシング部門長の山手勉氏は今回の採択を受けて、「このプロジェクトは、脱炭素化の推進に不可欠な海底のCCS貯留層モニタリングシステムを開発するもので、極めて有用だ。石油メジャーとの技術開発による直接的な協力の機会を通じて、今回の採択事業の商用化を着実に進めていきたい」と述べた。

ジェトロは覚書締結段階からこのプロジェクトに携わり、これまで日本財団とディープスターの連携技術開発案件の組成や、ウェブ会議を通じたプロジェクトの進捗管理などを通じて、採択された日本企業を積極的に支援している。

(注)ディープスターは、上流企業と呼ばれるシェブロン(米国)、シェル(英国)、エクイノール(ノルウェー)など、世界中の海洋石油・天然ガスの探査・開発・生産を担う企業や、これら企業に製品・サービスを提供する企業、大学などから成る海洋技術開発のコンソーシアム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(沖本憲司)

(日本、米国、フランス、ブラジル)

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