2023年1~5月の日本向け鶏卵輸出額が1997年以降最大に

(ブラジル、日本)

サンパウロ発

2023年06月15日

ブラジル経済省貿易統計(COMEXSTAT)によれば、2023年1~5月期にブラジルの鶏卵関連品目(注1)輸出額は、統計を取り始めた1997年以来過去最大の2,967万7,798ドル(前年同期比3.7倍)となった。日本向けの輸出額も、1997年以降最大となる1,211万6,864ドル(前年同期比7.8倍)で、ブラジルから対世界輸出額全体の40.8%(前年同期16.0%)を占めた。

2023年1~5月期の輸出量は1万1,950トン(前年同期比2.9倍)。うち、日本への輸出量は過去2番目に大きい約4,981トン(前年同期比13.9倍)で、ブラジルからの輸出量全体の41.7%(前年同期6.2%)を占めた。

2023年2月15日には、鶏肉鶏卵産業の現地情報サイト「AVICULTURA」が、ブラジル南東部に位置するミナスジェライス州の大手鶏卵生産企業であるマンチケーラ・グループが日本向けの輸出として1,150トンを準備していると報じた。同社はこの理由を、日本を含む多くの国で発生している高病原性鳥インフルエンザで供給力不足になったニーズに対応する動きと発表し、同社のレアンドロ・ピント最高経営責任者(CEO)は、日本向け輸出の拡大を新たな市場開拓の機会と捉えていると説明した。

ブラジルではこれまで鳥インフルエンザの発生実績は野鳥の1件のみで、現在のところ養鶏場での発生例は確認されておらず(注2)、養鶏で使用するエサに含まれるトウモロコシの一大生産地にもなっており、鶏卵の供給地としてのポテンシャルを有している。

ただ、ジェトロが関係者に確認したところ、鳥インフルエンザなどの問題で供給不足となっている日本の鶏卵の一部をブラジル産で代替するには、輸送にかかる時間やブラジル産鶏卵への世界的なニーズの高まりによる価格上昇といったハードルに加え、生産者の多くは、既存の供給ルートや取引先も多いため、新規で直ちに交渉に応じられる供給元を探すことは容易ではないとの声もある。

(注1)ブラジル動物性タンパク質協会(ABPA)の年次レポート(2023年版)で、ブラジルから輸出する鶏卵関連品目の輸出として挙げられているNCMコード(8桁で構成される、メルコスール共通関税番号。上6桁はHSコードと同じ)0407.00.90、0407.21.00、0407.29.00、0407.90.00、0408.11.00、0408.19.00、0408.91.00、0408.99.00、3502.11.00、3502.19.00で抽出。

(注2)ブラジル農業・畜産省は5月15日、「野鳥における」高病原性鳥インフルエンザウイルス陽性が国内で初めて確認されたことを受け、ブラジルは商業的に高病原性鳥インフルエンザが発生していない国であることに変わりないと説明しつつ、同省公式サイトで特設サイトを設けて慎重なモニタリングを行っている。

(古木勇生)

(ブラジル、日本)

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