UBS、クレディ・スイスの買収を完了
(スイス)
ジュネーブ発
2023年06月14日
スイス最大の銀行UBSは6月12日、同業クレディ・スイス(CS)の買収を完了したと発表した(プレスリリース)。
UBSはCSの買収を完了し、CSグループはUBSグループに統合され、統合された企業は、連結銀行グループとして業務を行うことになる。UBSは、スイス証券取引所(SIX)上場規則第53条に基づく、次の臨時通知を行った。
- 統合された企業は現在、連結銀行グループとして運営されている。
- 6月12日が、SIXにおけるCS株式の最終取引日となる。
- 株主は、CS株式22.48株につきUBS株式1株を取得する予定。
- CSを含むCSの一部事業体の取締役会の氏名を発表する(プレスリリース内リンク)。
- UBSは2023年までの中核的自己資本(CET1)比率(注1)を14%程度と予想する。
CSグループの米国預託株式(ADS)は、米国ニューヨーク証券取引所(NYSE)では取り引きされなくなる。2023年3月19日に発表したとおり(2023年3月20日記事参照)、CSの株主は、保有するCS株式22.48株につきUBS株式1株を受け取る。
既に発表されたとおりUBSは、さらなる統合を待って、次のガバナンスモデルを運用する。(1)UBSグループは、UBSおよびCSという2つの独立した親会社の銀行を管理する。各機関は、引き続き独自の子会社および支店を持ち、顧客にサービスを提供し、取引相手に対応する。(2)UBSグループの取締役会およびグループ執行役員会は、連結グループに対する全体的な責任を負う。
UBSは、CET1比率が2023年第2四半期に14%程度となり、2023年を通じてその水準にとどまると予想する。CSの営業損失および多額の再建費用は、リスクアセット(RWA)(注2)の削減により相殺されると予想している。
今後、UBSは、国際財務報告基準(IFRS)に基づく統合グループの連結決算を、米ドルで報告する。2023年第2四半期の業績は、2023年8月31日に伝達される予定。
(注1)「普通株式などTier1資本」(Common Equity Tier 1)。自己資本のうち、普通株および内部留保により構成される比率。
(注2)リスクを有する資産(貸出金や有価証券など)を、リスクの度合いに応じて調整した総資産の金額。
(竹上嗣郎)
(スイス)
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