フィッチ、フィリピンの信用格付け見通しを引き上げ

(フィリピン)

マニラ発

2023年06月05日

米国の有力格付け会社フィッチ・レーティングスは522日、フィリピンの長期外貨建て発行体デフォルト格付け(IDR)について、見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上げた。また、格付けを投資適格の「BBB」に据え置いた。同社は見通し引き上げの理由として、フィリピンが新型コロナ禍後に中期的な力強い経済成長の経路に戻りつつあることで、対GDP比の政府債務水準の持続的な減少につながり得ることを挙げた(政府通信社522日付)。また、フィリピンの経済政策運営は健全で、他の「BBB」に分類される国々と遜色がないことを付け加えた。

フィッチ・レーティングスはフィリピンの実質成長率の中期的な見通しを6%超と予測した。この値は他の「BBB」に分類される国々の中央値の3%を大きく上回る。さらに、政府が取り組んでいるビジネス環境や投資規制に関する改革の進展によって、経済成長率は上振れし得るとした。

GDP比の政府債務水準については、2024年に名目GDPの増加と財政赤字の縮小によって、約52%まで減少すると同社は予測している。フィリピン財務省(DOF)によると、2022年末の債務水準は対GDP比で60.9%だった。同値は他の「BBB」に分類される国々の中央値とほぼ同じ水準だ。

ベンジャミン・ディオクノ財務相は522日、フィッチ・レーティングスの格付けについて「見通し引き上げはフィリピンのマクロ経済の基礎が安定していることを示している」とコメントした。

(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)

(フィリピン)

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