ジェンダー平等達成率、中東・北アフリカは地域別で最下位、経済・政治分野に課題

(中東、北アフリカ、アラブ首長国連邦、イスラエル、トルコ、サウジアラビア、イラン、バーレーン)

中東アフリカ課

2023年06月29日

世界経済フォーラム(WEF)は6月21日、世界146カ国を対象に経済、教育、健康、政治の4分野でジェンダー(男女)平等の現状と進展を分析した「グローバル・ジェンダー・ギャップ報告書(2023)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。ジェンダーが完全に平等な状態を100%とした中東・北アフリカ(注1)の達成率は62.6%で、2022年の報告書で最下位だった南アジア(63.4%)を下回り、ジェンダー格差が最も大きい地域となった。

中東・北アフリカの達成率を分野別に見ると、識字率や就学率などが指標となる「教育」の達成率は95.9%(世界平均95.2%)、健康寿命や男女の出生比を指標とする「健康」は96.4%(同96.0%)で世界平均をわずかに上回った。一方で、労働参加率、賃金格差、専門職・技術職や管理職の男女比などが指標となる「経済」は44.0%(同60.1%)、国会議員・閣僚の男女比などが指標となる「政治」は14.0%(同22.1%)と、世界平均を大きく下回った(添付資料表1参照)。

中東を国別に見ると、アラブ首長国連邦(UAE)は前年からは順位を下げたものの、2017年の120位から近年は順位を大きく上げ、今回は71位(前年68位)となった。その結果、前年の調査で最も指数ランキングが高かったイスラエルの83位(前年60位)を上回り、順位が入れ替わった。分野別に見ると、UAEは政治が35位と高かった一方で、経済は128位と低かった。イスラエルは教育では100%の達成率で1位だったが、経済では75位だった。政治は前年の61位から96位に後退した。

トルコは世界全体で129位、サウジアラビアは131位、イランは143位だった(注2)。中東は、大半の国が前年から順位を下げたが、バーレーン、クウェート、カタールは順位を上げた。特にバーレーンは、政治が137位から99位となり、世界全体で20位順位を上げて、中東で3位になった(添付資料表2参照)。

(注1)同報告書の中東・北アフリカのカテゴリーには、アルジェリア、バーレーン、エジプト、イスラエル、ヨルダン、クウェート、レバノン、モロッコ、オマーン、カタール、サウジアラビア、チュニジア、アラブ首長国連邦(UAE)の13カ国が含まれている。

(注2)同報告書では、トルコはユーラシア・中央アジア、イランは南アジアのカテゴリーに分類されている。

(稲山円)

(中東、北アフリカ、アラブ首長国連邦、イスラエル、トルコ、サウジアラビア、イラン、バーレーン)

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