京津冀の産業協同発展に向けた実施プランが発表

(中国)

北京発

2023年06月01日

中国の工業情報化部、国家発展改革委員会などと北京市、天津市、河北省政府が共同で策定した「京津冀産業協同発展実施プラン」が524日に発表された。同プランは2025年までに京津冀地域(北京市・天津市・河北省)における産業協同発展のレベルが顕著に上昇することなどを目指すとした。

工業情報化部によると、北京市・天津市・河北省の産業協同発展に向け、地域の分業と生産力配置の最適化を加速させること、産業基盤の高度化と産業チェーンの現代化レベルを引き上げること、地域の産業イノベーションシステムの効能を強化することなど、8つの面で取り組みが挙げられた。

地域の分業と生産力配置の最適化については、同地域における先進製造業クラスターの育成に関する特別行動の実施を支援し、集積回路、サイバーセキュリティー、バイオ医薬などの重点分野において世界レベルの先進的な製造業クラスターを構築することが打ち出された。

産業基盤の高度化と産業チェーンの現代化レベルの向上では、新エネルギー車とインテリジェント・コネクテッド・ビークル(ICV)、バイオ医薬、水素、IoT(モノのインターネット)、ハイエンドマザーマシン、ロボットの6分野の産業チェーンを育成するとした。

中国政府は2015年に「京津冀協同発展規画綱要」を発表し、国家戦略として北京市、天津市、河北省の一体的な発展に取り組んでいる。2022年末時点で同地域には「専精特新の小巨人」企業(注)が1,100社余りあり、全国の12%を占めた。

また、北京市の非首都機能移転の受け皿として建設が進められている雄安新区は526日、「省・市をまたぐ企業移転に関する『1N』行動プラン」を発表した。同プランでは、北京市から移転してくる企業に対して企業登録、税関連業務、印鑑届出、住宅積立金、社会保険の加入手続き、銀行口座の開設の6つの面に関する一括サービス体制の構築をはじめ、移転後の社名の継続使用や関連文書の相互認証など移転コストを最大限削減するための一連の措置などが盛り込まれた。

なお、過去6年間で国有中央企業は150社余りの会社・機構を雄安新区に設立した。また、次世代情報技術やライフサイエンス・バイオ技術、新素材、ハイエンド現代サービス業などの産業を中心に、同区には北京市から投資を行った3,000社を超える企業が登記されている(「新華社」525日)。

(注)「専精特新の小巨人」企業とは、工業情報化部が認定した、専門性を有し、精密な技術力を持ち、差別化され、革新的な有力中小企業。

(張敏)

(中国)

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