2023年第1四半期GDPは2020年以来のマイナス成長
(ペルー)
リマ発
2023年06月01日
ペルー国家統計情報庁(INEI)は5月23日、2023年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率が前年同期比マイナス0.4%と発表した。2020年第4四半期(1.5%減)以来のマイナス成長となった。INEIによると、マイナス成長の背景には、2022年12月のペドロ・カスティージョ前大統領の罷免による各地での抗議活動などの影響(2022年12月14日記事参照)を受けた内需の縮小(前年同期比0.6%減)と、エルニーニョ現象による豪雨災害などに加えて、財貨・サービスの輸出の減少(1.5%減)などが影響しているという(添付資料表1参照)。
第1四半期の内需の縮小は、主に総固定資本形成(前年同期比8.5%減)と政府消費(1.7%減)の減少に起因している。特に政府消費では、新型コロナウイルス感染の落ち着きにより公的医療費支出が前年同期比で19.5%減少している。一方で、GDPの65.8%〔1,522億300万ソル(約5兆7,837億円、1ソル=約38円)〕を占める民間消費は、リマ都市部の就労人口(4.1%増)や平均名目所得額(11.8%増)の増加を背景に、0.2%増加している。特に、食品やアルコール飲料(16.5%増)、これらの供給サービス分野(9.9%増)などが牽引している。
財貨・サービス輸出では、非伝統産品の輸出が5.6%減と振るわなかったが、伝統産品が6.3%増加し、下支えした。具体的には、精製銅(22.9%増)、ブドウ(22.7%増)、非精製銅(15.6%増)、冷凍冷蔵魚介類(7.5%増)が増加した一方で、天然ガス(46.6%減)、鉄鉱石(26.1%減)、金鉱石(23.4%減)、亜鉛鉱石(16.1%減)、魚粉(12.1%減)などが減少した。輸出の主な仕向け先は、中国(27.5%)、米国(18.9%)、カナダ(5.0%)、韓国(4.7%)、日本(4.2%)が上位を占めた。
経済活動別では、漁業・養殖漁業分野が、好調だったカタクチイワシの後期漁によって前年同期比で27.9%増加したため、全体で22.4%増加した。レストラン・ホテル分野も、南部を中心としたデモ活動などによるホテル業界への影響はあったものの、外食産業の成長に支えられ、全体で5.0%の成長となった。反対に、建設分野(11.5%減)、情報通信分野(9.4%減)、金融・保険・年金分野(4.7%減)などは減少している(添付資料表2参照)。
(設楽隆裕)
(ペルー)
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