ケニア模倣品対策機関(ACA)が知的財産権登録制度の運用を開始

(ケニア)

ドバイ発

2023年06月19日

ケニアの模倣品対策機関(ACA)は、ジェトロの聞き取り(6月13日時点)に対し、輸入品に関する知的財産権登録(Intellectual Property Rights Recordation)を義務付ける制度(注)の運用を開始したと明らかにした。

ACAは、2023年1月1日から知的財産権の登録を義務化した一方で、当局の事務処理が追い付かず運用を延期していた(2023年3月6日記事参照)。現在は、登録情報を模倣品の取り締まりに利用しており、実際に同制度の登録情報に基づいて靴の模倣品を差し止めた事例が1件存在しているという。

しかし、登録システムのAIMS外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは故障と復旧を繰り返しており(2022年7月15日記事参照)、人員不足や手続きの遅れもあって当局での登録が追い付いていない。聞き取り時点での登録件数は280件、登録申請されたものの登録待ちになっている件数は1,115件にのぼる。登録の遅れについては各国から苦情が寄せられているという。ACAは登録申請を処理しきれていないため、知的財産権の登録が義務付けられている真正品が未登録の状態でケニアに輸入されても、権利者や輸入者に対して差し止めなどのペナルティは科していない。

登録すべき知的財産権の範囲については、今回の聞き取りで「ACAの検査官が模倣品を見分けやすいかどうかという観点で商標を登録することが重要」との追加回答を得ている(過去の聞き取り聴取内容は、2023年3月6日記事の注2を参照)。

なお、知的財産権登録制度の義務化と並行して、2023年1月1日から開始した「ACA輸入許可(Import Permit)」制度(2023年3月6日記事、2023年5月9日記事参照)は、システムのトラブルもなく正常に運用できており、登録情報を模倣品の取り締まりに活用しているという。

(注)本制度や登録についての詳細は、各種記事(2022年5月9日記事、2022年10月アフリカ知的財産ニュースレター77号PDFファイル(2.4MB))を参照。

(関景輔)

(ケニア)

ビジネス短信 bedaef6adc8d77cf