オメガシミュレーション、日本財団のCO2回収に関する石油メジャーとの連携技術開発案件に採択

(米国、日本)

ヒューストン発

2023年06月01日

オメガシミュレーション(本社:東京都新宿区)は5月31日、同社の「ナノ流体を用いた排ガス二酸化炭素(CO2)回収技術の開発」が「海洋石油・天然ガス分野における脱炭素化等推進に係る日本財団とディープスター(DeepStar、注1)連携技術開発助成プログラム」に採択されたと発表した。

本事業の実施にあたり、オメガシミュレーションは、米国コロラド鉱山大学と連携し、CO2回収量が大幅に増加する技術(注2)を用いて、排ガスからのCO2除去の実証実験およびモデル化を共同研究するとしている。

また、同助成プログラムでは、新エネルギー関連企業アンヴァール(本社:静岡県浜松市)が応募した「MOF(格子状有機金属化合物)(注3)によるCO2回収技術の開発」も採択されている。本事業においても、オメガシミュレーションとコロラド鉱山大学はアンヴァールから、MOFの設計と性能評価などの一部開発業務を受託するとしている。

助成プログラムは、日本財団とディープスターとの「海洋石油ガス分野の脱炭素化推進に向けた連携技術開発に関する覚書」(2021年12月8日記事参照)に基づくものだ。日本財団は2023年5月5日に、両事業含む10件の新規採択事業を発表していた。また、オメガシミュレーションは2022年応募の2023年度(2年目)事業でも2件が採択されている。(2023年5月9日記事参照)。

オメガシミュレーション代表取締役社長の浦直樹氏は、今回の採択を受けて「両事業は、脱炭素化の推進に必要な基盤技術を開発するもので極めて有用だ。石油メジャーとの技術開発による直接的な協力の機会を通じて、今回の採択事業の商用化を着実に進めていきたい」と述べた。

ジェトロは、覚書締結段階からこのプロジェクトに携わり、これまで日本財団とディープスターの連携技術開発案件の組成や、ウェブ会議を通じたプロジェクトの進捗管理などを通じて、採択された日本企業を積極的に支援している。

(注1)ディープスターは、上流企業と呼ばれるシェブロン(米国)、シェル(英国)、エクイノール(ノルウェー)など、世界中の海洋石油・天然ガスの探査・開発・生産を担う企業や、これら企業に製品・サービスを提供する企業、大学などから成る海洋技術開発のコンソーシアム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(注2)燃焼時に発生するCO2の回収技術の1つに、アミン溶剤の利用があり、本溶剤にナノ流体を加えるとCO2回収量が大幅に増加するとされる。

(注3)日本発の新素材で、目的の気体だけを大量に吸着する性質があるとして注目される。

(沖本憲司)

(米国、日本)

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