米グーグルがGJ州・GIFTシティーにフィンテックのグローバル拠点

(インド)

アーメダバード発

2023年06月30日

インドのナレンドラ・モディ首相は訪米中の6月23日、首都ワシントンにおいて、米国グーグルのスンダル・ピチャイ最高経営責任者(CEO)と会談し、インドにおける人工知能(AI)、フィンテック、サイバーセキュリティー製品・サービス、モバイル機器製造の分野における協力の可能性を検討することを要請した。また、研究開発と技能開発の促進に向け、グーグルとインド学術機関との協力についても協議を行った(6月24日インド外務省プレスリリース)。

これを受けピチャイCEOは、インド西部グジャラート(GJ)州で開発が進む「GIFTシティー」(注)に、同社のグローバル・フィンテック・オペレーションセンターを設立すると発表した。同センターにおいて、グーグルのオンライン決済システムの1つであるGPayやその他の製品業務をサポートする専門的なフィンテック業務に携わるという(「タイムズ・オブ・インディア」紙6月25日)。

さらに、同社は2020年に開始した100億ドルのインド・デジタル化基金を通じ、AI開発に取り組む企業や、女性が活躍する企業への投資を含めたインドへの投資を継続するとした。同社は、アプリケーションやプログラムをより多くのインドの地方言語に対応させる準備を進めていることにも触れ、AIの出現によりインドが進歩するチャンスは刺激的だと語った。

ピチャイCEOは声明の中で、同センターは、統合決済インターフェース(Unified Payments Interface:UPI)のアーダール(Aadhaar、インドの国民識別番号制度)によって、インドのフィンテック・リーダーシップを確固たるものにし、グローバル展開するつもりだと説明した。また、モディ首相のデジタル・インディアのビジョンは、今まさに他国が取り組もうとしていることの青写真で、時代を先取りしたものだったと述べた。

国際金融特区の機能の1つとして、フィンテック企業の育成を進めてきたGIFTシティーのタパン・レイCEOは「グーグルの拠点を設立する発表は、ウィンウィンな提案だ。これは、フィンテック分野におけるインドの存在感が増している証しだ。GIFTシティーをグローバルなフィンテックハブにするという首相のビジョン実現に大きな役割を果たすだろう」と述べた(2022年9月26日記事参照)。

(注)グジャラート国際金融テックシティー(Gujarat International Finance Tec-City)の略。

(古川毅彦)

(インド)

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