英国でウクライナ復興会議開催、スナク首相は官民、国際機関の連携呼びかけ

(英国、ウクライナ)

ロンドン発

2023年06月22日

英国・ロンドンで621日から22日、ウクライナ復興会議が開催されている外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます初日の21日にはリシ・スナク英首相が開会演説を行った外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。演説ではウクライナの創造性とロシアへの対抗力を賞賛、同盟国とともにウクライナへの支援を維持することを表明。また、早期復興とポテンシャル発揮に向けて各国政府や国際金融機関、企業間で連携する必要があることを指摘した。ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領も演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。同国の平和に向けた取り組みの方向性として、団結、安定性、成長、安全保障のそれぞれの強化と民主主義の5つを強調した。

会議に合わせて、英国政府はさまざまな支援や取り組みを発表した。英国は世界銀行に対し今後3年間にわたって30億ドル規模の融資保証を提供する。このほか、民間企業がウクライナ支援を表明するためのプラットフォーム「ビジネスコンパクト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の設立も発表。

さらに、戦争リスク保険に関する新たな枠組み「ロンドン・カンファレンス・フレームワーク」も発表。ウクライナの戦時中の経済維持、早期復興、長期再建に向けて国際的なパートナーと連携し、戦争関連リスクを対象とした保険メカニズムの提供に取り組むことで、民間投資を促すことを目的としている。これに関連し、政府は世界銀行の多数国間投資保証機関(MIGA)に対し、最大2,000万ポンド(約362,000万円、1ポンド=約181円)を拠出することも発表した。

そのほか、会議に先立つ20日には新たなイニシアチブ「英国・ウクライナ・テックブリッジ」を発表。ロンドンにスペースを設置し、両国政府・企業が連携し、テック分野のイノベーション、協業機会の活用に向けて取り組む。さらに、オンラインのネットワーキングなどを通じてウクライナ企業と外国企業の連携を促進するためのプラットフォーム「ビジネスブリッジ・ウクライナ」の設置も発表した。

ウクライナのエネルギー復興や、エネルギー産業の改革と脱炭素化などに向けた資金提供のほか、エネルギーシステムの現代化、グリーン化などに向け、ウクライナ政府とG7プラス(注)でクリーンエネルギーパートナーシップ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに合意したことも発表。他の分野では、首都キーウ向け物流ルート再開のための橋再建に向けた融資の提供、英政府系開発金融機関を通じた国際金融公社(IFC)の貿易金融プログラムの支援、反汚職、透明性とアカウンタビリティー向上に向けた支援なども発表されている。

(注)ブルガリア、カナダ、チェコ、エストニア、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ラトビア、リトアニア、ポーランド、ノルウェー、ルーマニア、スロバキア、スウェーデン、英国、米国、EU、エネルギー共同体事務局、世界銀行、欧州復興開発銀行(EBRD)、国連開発計画(UNDP)。

(山田恭之)

(英国、ウクライナ)

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