最低賃金、2024年7月までに50万ペソまで段階的に引き上げ

(チリ)

サンティアゴ発

2023年06月13日

チリ国会は5月29日、最低賃金を段階的に引き上げる法案を可決した。ガブリエル・ボリッチ大統領の就任後、2022年5月に実施された引き上げ(2022年5月30日記事参照)に続く2度目の措置となる。

同法の施行に伴い、最低賃金(月額)は2023年5月から、これまでの41万ペソ(約7万3,800円、1ペソ=約0.18円)から44万ペソまで引き上げられ、4カ月後の9月には46万ペソに増額される。2023年の累計の消費者物価指数上昇率(CPI)が6.0%を超過する場合、2024年1月に47万ペソまで増額され、2024年7月に50万ペソになる予定だ。2022年5月に実施された1度目の改定と今回の改定を合わせると、合計15万ペソの増額となり、最低賃金の大幅な改定が実現する。

最低賃金の増額に付随する措置として、中小零細企業向けの補助金の対象範囲の拡大や、マクロ経済状況が悪化した場合に、それらの補助金を増額するメカニズムも法律内で規定した。併せて、経済と雇用の再活性化を目的として2020年9月から行ってきた税制優遇と関連して、中小零細企業の法人税率(第1カテゴリー所得税)を25%から10%まで引き下げる特別措置の期限を2023年まで延長し、2024年にも税率12.5%を維持するなど、最低賃金の上昇が企業へ及ぼす影響を抑えるための対策も含まれる。

ジャネ・ハラ労働・社会保障相は「中小企業団体らの支持と協力の下、最低賃金を50万ペソまで増額させることができたことを大変うれしく思う」とコメントし(5月29日付の政府公式サイト)、最低賃金引き上げは、国民の生活の質を向上させるために必要な措置のうちの1つと強調した。

(岡戸美澪)

(チリ)

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