最低賃金を段階的に引き上げ、改定率は過去29年で最高に

(チリ)

サンティアゴ発

2022年05月30日

チリ国会は5月18日、最低賃金を段階的に引き上げる法案を可決した。同法案はチリ政府が推進する包括的な経済復旧政策(CHILE APOYA)(2022年4月13日記事参照)に含まれるもので、 まず5月1日からの最低賃金は、現行の35万ペソ(約5万2,500円、1ペソ=約0.15円)から38万ペソへ増額し、3カ月後の8月には40万ペソまで引き上げる。さらに、2022年の累計の消費者物価指数上昇率(CPI)が7.0%を超過する場合には、2023年1月より41万ペソまで増額する。政府の発表によると、今回の最低賃金改定率は過去29年で最高で、約80万人の国民が措置の対象となる。

本法案には、急激な賃金上昇への対応が困難な中小企業向けの補助金拠出も含まれている。同補助金は、5月から7月まで労働者1人あたり2万2,000ペソ、8月から2万6,000ペソが政府より支給される。またインフレの加速によって最低賃金が2023年1月から41万ペソとなる場合には、3万2,000ペソまで同補助金も増額する仕組みとなっている。他にも、生活費の高騰を考慮した低所得者向け支援の増額なども含まれており、国民の生活の質の改善を目的とする政策となっている。

ガブリエル・ボリッチ大統領は、自身の任期終了(2026年3月)までに最低賃金を50万ペソまで引き上げることを目指しており、公正な社会の実現に向けた取り組みを推進する、としている。

(岡戸美澪)

(チリ)

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