メキシコ州知事選で与党が勝利
(メキシコ)
メキシコ発
2023年06月08日
6月4日に実施されたメキシコ州知事選で、与党・国家再生運動(MORENA)のデルフィナ・ゴメス氏が接戦を制して当選確実となった。デルフィナ・ゴメス氏の投票率は52.7%で、野党連合〔国民行動党(PAN)、PRI、民主革命党(PRD)〕のアレハンドラ・デルモラル氏が44.3%と得票率は僅差だった(添付資料表参照)。同州は野党の制度的革命党(PRI)が長年維持してきた地盤だったが、与党のMORENAがPRIの牙城を崩したかたちとなった。デルフィナ・ゴメス氏はメキシコ国立教育大卒で、公立小・中学校の教員経験がある。メキシコ州のテスココ市長や連邦下院議員を経て、同知事選前まで教育相を務めていた。この知事選では女性の社会進出や若者の就労支援、汚職撲滅を公約に掲げていた。
メキシコ州知事選と同じ4日に行われたコアウイラ州知事選では、野党連合でPRIのマノロ・ヒメネス氏が56.9%を獲得し、与党のアルマンド・グアディアナ氏に35.5ポイントの大差をつけて勝利した。同州もPRIが長年維持しており、今回の知事選でPRIの牙城を守った。マノロ・ヒメネス氏はモンテレイ工科大学行政学修士課程を修了し、直近では2023年1月まで同州の社会的包括・開発長官を務め、工業団地の推進やインフラへの大規模投資など積極的な経済振興プログラムに注力してきた。
2024年大統領選では与党がさらに優勢に
両州知事選を経て、メキシコ市を含む全32州の知事の所属政党は、MORENAは21州、PANが5州、PRIが2州、MCが2州、PVEMが1州、PESが1州となった(添付資料図参照)。アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領が所属するMORENAは、今回の州知事選で有権者数が最も多いメキシコ州を制したため、2024年の大統領選に向けて、AMLO大統領の後継として出馬するMORENAの候補者にとっては、さらなる追い風となる。しかし、AMLO大統領は6月5日の記者会見で、2024年大統領選のMORENAの候補者について、「私がMORENAの候補者を擁立するのではなく、候補者は国民が決めるものだ」と述べ、候補者の明言を避けた(「レフォルマ」紙6月5日)。大統領選の有力候補であるメキシコ市のクラウディア・シェインバウム市長は自身のツイッターでゴメス氏との写真を掲載し、ゴメス氏の勝利を祝福しつつ、同氏とのつながりをアピールした。次期大統領選でMORENAの候補者はシェインバウム氏を含め誰になるのか、最大の有権者を誇るメキシコ州の票がどの候補者に流れるのかに注目が集まる。
(阿部眞弘)
(メキシコ)
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