フラウンホーファー研究所、新理事長を決定
(ドイツ)
ミュンヘン発
2023年06月13日
科学技術分野の欧州最大の応用研究機関フラウンホーファー研究所の新理事長が5月25日に決まった(プレスリリース)。第11代理事長に就任するのは、ホルガー・ハンゼルカ・カールスルーエ工科大学学長。11年近く理事長を務めたライムント・ノイゲバウアー氏は同日付で退任した。
ハンゼルカ新理事長は1961年生まれ、出身はドイツ北部のニーダーザクセン州オルデンブルク。機械工学が専門で、2013年からカールスルーエ工科大学学長を務める。2001年から2013年までフラウンホーファー・構造耐久性・システム信頼性研究所(LBF)所長を務めたほか、2006年から2012年までフラウンホーファー研究所の役員を務めた。ハンゼルカ新理事長はフラウンホーファー研究所のさらなる国際化と現代的なミッションステートメントの策定を最初の主要任務に掲げた。
フラウンホーファー研究所の設立は1949年。研究分野ごとに国内に76の研究所・リサーチユニットがある。職員数は2022年末現在で研究員と事務員、学生研究員など含めて3万350人。同年の年間予算は総額30億4,900万ユーロで、うち26億1,500万ユーロは委託研究による収入。委託研究のうち11億2,000万ユーロが連邦政府、州政府など公共部門からのプロジェクト、7億8,700万ユーロが企業からの委託研究となっている。
同研究所は窓口となる代表部を日本に置いている。2012年に産業技術総合研究所と包括研究協力覚書を締結、2022年にスギノマシン(本社:富山県魚津市)と共同研究契約を締結
するなど、日本の研究機関や企業との協業にも積極的だ。
フラウンホーファー研究所はスタートアップ企業支援も行っており、2022年末で合計82のスタートアップに資本参加している。加えて、4社のスタートアップには同研究所が主要株主として資本参加している。同研究所の研究員などによるスピンオフも支援する。具体的には、フラウンホーファー・ベンチャーが支援する。2022年には49の新規プロジェクトを支援、18社のスピンオフが誕生した(注)。
(注)フラウンホーファー研究所が出資するスタートアップ企業、同研究所からのスピンオフ企業
については、フラウンホーファー・ベンチャーのウェブサイトで詳細を確認できる。
(高塚一)
(ドイツ)
ビジネス短信 5fba9a5b950723e3