雇用パス申請手続きを新システムへ一元化、取得に要する期間短縮へ

(マレーシア)

クアラルンプール発

2023年06月13日

マレーシア政府は6月15日以降、人的資源省傘下の人材公社(タレントコープ)が開発する新システム「XPats Gateway外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(エクスパッツ・ゲートウェー)」を通じて、雇用パス(EP)の申請手続きを迅速化する。5月31日に同システム導入の概要を発表したラフィジ・ラムリ経済相は、これまで複数機関が関与していたEP申請を全て一元化する意向を示していた。

入国管理局駐在員サービス部門(ESD)が現地商工会議所など向けに6月8日に行った説明会によると(注1)、企業によっては5営業日以内でEPが取得できるケースも出る見込みだ。なお、短期就労を行う外国人に発給されるプロフェッショナル・ビジット・パス(PVP)は同システムの対象でなく、従来どおりの取得手続きを要する。

EP申請企業を6グループに分類、ファストパス企業は5日間で取得可能

EPを申請する企業は、ティア1~5および「クリティカルセクター(重要分野)」に分類され、このうちティア1~2と重要分野企業は「ファストトラック」扱いとする。分類は、(1)国家重要経済分野に属するか(注2)、(2)売上高、(3)資本金規模、(4)実績、(5)新規・成長途上・成熟といった企業のライフサイクルに基づいて行われ、定期的に見直される。

ファストトラック企業のビザ申請の流れは添付資料図のとおり。図のプロセス3~4の部分に限れば、最短5営業日でEPが取得できる。ティア3~5の企業は「ノーマルトラック」として、より長い日数が掛かるものの、15営業日程度でEPを発給できる見込み。

新システム上で6月15日にサポートレターの申請が可能になる先行11業種は表のとおり(ESDのアナウンスPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。その後8月15日までに全面的に利用可能になるという。

現地人材求人や許諾機関の認可に要する期間短縮

新システムには、現行「ESDオンライン」で用いているものと同じIDとパスワードでログインできる(使用マニュアルPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。許諾機関への申請はエクスパッツ・ゲートウェーから行い、ファストトラックの場合、許可を3営業日以内(ノーマルトラックは10営業日)に取得した後、ESDへのEP申請に進む(添付資料図参照)。現行制度上は、業種によってはこの許諾機関の承認に時間を要するケースがあった。

ESDが作成した新システムに関するよくある質問(FAQPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))によると、いずれのティアでも、サポートレター申請に当たり、プロジェクションやクオータといったビザ枠を事前に確保する必要はなくなる。また、2021年1月以降に義務化された現地人材の求人(2021年1月6日記事参照)は引き続き必要だが、実施期間は30日間から14日間に短縮される。

(注1)本稿は6月8日時点の情報に基づく。実際の手続きに際しては、最新の通知やガイドラインも確認のこと。この件に関する問い合わせは、ESD(+603-7839 7171、helpdesk@myxpats.com.my外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で受け付けている。

(注2)石油・ガス・エネルギー、パーム油、電気電子、観光、通信インフラ、金融サービス、ビジネスサービス、卸売り・小売り、教育、ヘルスケア、農業、クアラルンプール大都市圏の12分野。2010年発表の「経済変革プログラム(ETP)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」で特定された。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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