航空機内装品の世界最大級の専門展示会エアクラフト・インテリア・エクスポ、ハンブルクで開催
(ドイツ、日本)
ベルリン発
2023年06月26日
航空機内装品に関する世界最大規模の専門展示会「エアクラフト・インテリア・エクスポ」が6月6~8日、ドイツ・ハンブルク市で開催された。400社以上が出展し、70カ国以上から約1万2,000人が来場した。主なバイヤーの航空各社の参加は前年比59%増となった。
航空業界では2050年カーボンニュートラルを目指しており、民間航空機の内装品の分野でもサステナビリティが最重要課題として認識されている。ドイツ航空宇宙産業連盟(BDLI)は会期中に実施したセミナーで、「サステナビリティは最優先事項で、航空業界が事業を継続するためのライセンスだ」と訴えた。今回の展示会全般を通じ、エアバスやボーイングなどの大手航空機メーカーをはじめ、出展各社はサステナビリティへの寄与を前面に打ち出し、内装品の軽量化(reduce)や、リサイクル(recycle)、再利用(reuse)、修理(repair)に積極的に取り組む姿勢をアピールした。
エアバスのブース(ジェトロ撮影)
日系企業も出展した。各社の状況については次のとおり。
ジャムコは、シート数を減らすことなく、1人1人の個室感を確保できるビジネスクラス「Quest」を展示。同社の柴嶺祐美子営業部次長は「2022年からサステナビリティ推進室を立ち上げた」とし、サステナビリティに対する同社の姿勢を強調した。
三菱ケミカルは、同社の投資によってスケールアップされたCarbo NXT(ハンブルク市)との協業により、航空機、自動車、バイクなどの廃材から炭素繊維を取り出し、新たなリサイクルのパーツを製造する取り組みを紹介した。再生部品は航空宇宙分野のシートやサイドウォールなどに活用されているという。
三菱ケミカルのブース(ジェトロ撮影)
パナソニック アビオニクスは、有機ELディスプレーを活用した機内エンターテインメントシステム「ASTROVA」をアピール。2024年をめどに投入を目指すとした。同社の担当者は「(エアラインのサステナビリティニーズに対応し)、従来の液晶を活用したシステムと比較して、大幅に軽量化を実現できる」と自信をのぞかせた。
パナソニック アビオニクスのブース(ジェトロ撮影)
このほか、ティアックはワイヤレス通信によって乗客の携帯端末にコンテンツ配信を行う機内搭載用の小型ポータブルストリーミングサーバー「PortaStream PS-V50」を、SEKISUI KYDEXはビジネスクラス向けシート用のリサイクルを意識したトレーやパネルを展示した。
次回のエアクラフト・インテリア・エクスポは、2024年5月28~30日に開催予定。
(和爾俊樹)
(ドイツ、日本)
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