日ASEANの経済共創を推進、日ASEANビジネスウィーク2023

(ASEAN、日本、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピン、ミャンマー、カンボジア、ラオス)

アジア大洋州課

2023年06月06日

西村康稔経済産業相は6月5日、東京での「日ASEANビジネスウィーク2023外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の開会あいさつで、成長著しいASEANと高い技術を持つ日本が、信頼に基づいて共に未来を創る、新たな経済関係の方向性として「日ASEAN経済共創ビジョン」の中間とりまとめを公表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますことを発表した。

日ASEANビジネスウィークは、経済産業省と日ASEANの関係機関が共催するイベントで今回が3回目。ASEANビジネスの最新状況や先導的な取り組み事例の紹介など、各方面の識者が1週間にわたり幅広い議論を行う。前年の同イベントにおいて、日ASEAN友好協力50周年に当たる2023年に向けて、日ASEAN双方の経済界の声をとりまとめる「日ASEAN経済共創ビジョン」策定プロジェクトを立ち上げ、ビジョン策定を進めていた。

西村経済産業相は、ビジョンの実現に向けて今後取り組む事項として、(1)カーボンニュートラルな社会をASEANと共に創ること、(2)ASEANの成長力と日本の技術力を掛け合わせて、日ASEANをイノベーション創出の一大中心地とすること、(3)こうした取り組みを支える人のつながりをつくること、の3点を挙げた。具体的には、アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)構想などを通じた再生可能エネルギーの導入や、日ASEANの大企業とスタートアップの出会いの場としてファストトラックピッチの開催、日ASEANの若いビジネスリーダーによるサミットの開催などを念頭に置く。

ASEAN側から開会あいさつに登壇したカオ・キム・ホンASEAN事務総長は、日ASEANがこれまで築いてきた信頼関係の上に、共に繁栄する関係を築くことができるとした。新たな経済関係を築くうえで、民間セクターからの貢献を期待する分野として、サステナビリティ、デジタルコネクティビティ、ビジネス共創の3点を挙げた。「未来のビジネスモデルにおいてサステナビリティが中心的価値・新たな競争力であること」の重要性を述べ、ASEANの脱炭素化に向けて、日本企業からグリーン分野の技術やノウハウの共有について期待を寄せた。さらには、ASEANデジタルフレームワーク協定(DEFA)などデジタル経済化への取り組みについて触れ、日・AESANを含む地域で、金融、Eコマース、貿易などのさらなる成長が見込まれるとした。

また、同セッションでは、4件の協力文書も締結された。まず、ジェトロとASEANビジネス諮問委員会(ASEAN-BAC)との間で、(1)若い世代のビジネスリーダーによるサミットの開催に向けた協力、(2)スタートアップと大企業の協業を後押しする日ASEAN共創ファストトラック・イニシアティブの推進、(3)ゼロエミッション分野の日ASEANの取り組みのシナジーと協力ついての覚書(MoU)がそれぞれ取り交わされた。さらに、日本貿易保険(NEXI)と三菱UFJ銀行がAZECの理念に沿ったプロジェクトなどを支援するためのブレンデッド・ファイナンススキーム(注)の構築を目的として、基本協定書の締結外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行った。

(注)公的資金と民間資金を組み合わせたファイナンス手法

(山城武伸)

(ASEAN、日本、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピン、ミャンマー、カンボジア、ラオス)

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