マーサーの生計費調査2023、ムンバイがインド首位に
(インド、バングラデシュ、パキスタン)
アジア大洋州課
2023年06月20日
国際的な人事コンサルティング会社マーサーは6月7日、「2023年世界生計費調査-都市ランキング(Cost of Living City Ranking 2023、注)」を発表した。同ランキングによると、海外駐在員の生活費について、最も高価な都市の1位は香港、2位はシンガポール、とアジアの両都市が上位になり、3位から5位まではいずれもスイスの各都市が占めた。他方、2022年半ばの通貨切り下げの影響を受け83位まで順位を下げた、キューバのハバナや、パキスタンのカラチ(226位)と首都イスラマバード(227位)の2都市は、ランキングの中で生活費が最も安価な都市だった。なお、東京は前年から10位順位を下げ、19位だった。
2023年のランキング上位および同概要は次のとおり。
- 1位:香港(2022年1位)
- 2位:シンガポール(8位)
- 3位:チューリヒ(2位)
- 4位:ジュネーブ(3位)
- 5位:バーゼル(4位)
また南西アジア地域の主要都市について主なポイントをまとめると次のとおり。
- インド国内では、ムンバイが世界ランキングで147位(2022年127位)で最も順位が高く、首都ニューデリーが169位(155位)、チェンナイ184位(177位)、ベンガルール189位(178位)、ハイデラバード202位(192位)、コルカタ211位(203位)、プネ213位(201位)という結果だった。
- バングラデシュの首都ダッカは、前年より56位ランクを下げ、154位だった。
- チェンナイ、ハイデラバード、コルカタ、プネの各都市はムンバイと比較し、50%以上低い宿泊費で滞在できることがわかった。その中でもコルカタは、宿泊費が最も安価で、居住者と駐在員に対し、より手頃な選択肢を提供している。
また同報告書では、生活費の「危機」が、多国籍企業やグローバル人材にどのような影響を与えたのかという点につき、金融政策の導入や世界的な金融引き締めにより、2023年に多くの国では所得の伸びが鈍化し、失業率も上昇する可能性が高いとする。現在、国際的ビジネスや人材を引きつけるという観点で、最も成功している拠点は、柔軟なガバナンス、高い生活の質、合理的な生活費を兼ね備えた場所だとする。他方、企業や従業員にとって、ネガティブな要素として、大きな抑止力になるのは、自然災害、政治・経済の混乱、犯罪率の高さ、インフラの不備、国際的な接続性の低さなどだという。
加えて、債務水準も依然高く、各市場でのコアインフレ率がまだピークに達してないことから、インフレと為替レートの変動が、国際的に活躍するグローバル人材の給与や貯蓄に直接影響を及ぼしている点を指摘する。たとえば、日用品10品目で分析すると、ガソリン価格は上昇幅が縮小し、多くの地域で価格下降がみられるものの、砂糖、食用油、バターなど価格上昇顕著だったとしている。
(注)同調査では、年に2回、世界5大陸227都市を対象に、住宅、交通、食料、衣類、家庭用品、娯楽など200 以上の項目の価格を調査して比較している。
(寺島かほる)
(インド、バングラデシュ、パキスタン)
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