次期大統領選の予備選挙に向け、各党が候補者リスト提出
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2023年06月27日
アルゼンチンで6月24日、8月13日に行われる国政選挙の全党同時開放型義務的予備選挙(Primarias, Abiertas, Simultáneas y Obligatorias:PASO)の候補者の名簿提出期限を迎えた。PASOへの候補者名簿の提出により、2023年のアルゼンチン大統領選挙と国会議員選挙に向けたPASO名簿が出そろうことから、本格的に選挙戦がスタートしたことになる。
PASOには、18歳から70歳の国民に投票義務がある。10月22日に行われる本選挙に参加する政党や候補者は必ずPASOに参加しなければならない。PASOで有効票と白票の合計で1.5%以上の得票率を得られなかった候補は本選挙に参加できない。また、政党や政党連合がPASOまでに候補者名簿を一本化できなかった場合、PASOに複数の候補者名簿を提出し、PASOを通じて候補者名簿を一本化する。同一の政党連合から複数の候補者名簿が提出された場合、大統領、副大統領は最も得票率の高い候補者名簿が、上院は最も得票率の高い候補者名簿が本選挙の候補者名簿となる。下院は各党の選挙協約による。
PASOはすなわち、泡沫(ほうまつ)候補の排除や、政党内の意見調整、政党内で候補者リストが一本化されていれば本選挙に向けた巨大な世論調査の意味合いがある。
PASOの候補者名簿提出期限に先立つ6月19日は、選挙連合の登録期限だった。ここで、与党連合の「全ての戦線」は連合を維持しつつ、名称を「祖国のための同盟」に改称した。野党連合「変革のためにともに」は連合、名称ともに維持した。共和国提案(PRO)、急進市民同盟(UCR)、ARI市民連合などが引き続き連合を組む。
左派の与党連合は、大統領、副大統領候補にいずれも穏健派のセルヒオ・マッサ経済相、アウグスティン・ロッシ官房長官を立てた。連合内の急進派は、急進派のエドゥアルド・デ・ペドロ内相と穏健派のトゥクマン州のフアン・マンスール知事の組み合わせを統一候補に推す一方、穏健派のダニエル・シオリ駐ブラジル大使も大統領候補としてPASOへの立候補を表明していたものの、一転してマッサ経済相、ロッシ官房長官に一本化することになった。正確には、社会運動家のフアン・グラボイス氏、パウラ・アバル・メディーナ氏も与党連合から大統領、副大統領候補としてPASOに出るが、実質的にマッサ経済相とロッシ官房長官のリストに一本化されたと言える。
野党連合「変革のためにともに」は候補者名簿を一本化できず、PROでタカ派のパトリシア・ブルリッチ元治安相とUCRのルイス・ペトリ元下院議員の組み合わせ、PROでハト派のオラシオ・ロドリゲス・ラレッタ現ブエノスアイレス市長とUCR党首でフフイ州のヘラルド・モラレス知事の組み合わせで候補者名簿が提出された。
第三勢力では、右派の政党連合「自由前進」で、新自由主義的かつ過激な発言で若者の熱狂的な支持を得ているハビエル・ミレイ下院議員とビクトリア・ビジャルエル下院議員が大統領、副大統領候補となっている。
(西澤裕介)
(アルゼンチン)
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