EUとケニアがEPA締結に合意、さらなる貿易拡大に期待

(ケニア、EU、米国、アラブ首長国連邦)

ナイロビ発

2023年06月23日

ケニア政府と欧州委員会は6月19日、ケニアとEUの経済連携協定(EPA)について合意に達したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。今後、発効に向けてそれぞれの手続きを可能な限り早期に完了させるとしている。EUとケニアを含む東アフリカ共同体(EAC)は2014年にEPA交渉を妥結したものの、最終的に批准したのはケニアのみだった。2021年2月にEACは加盟国とEUが個別に交渉を進めることを容認し、これを受けてケニアはEUと個別交渉を進めていた。EUは今後、他のEAC加盟国の参加も歓迎するとしている。

EUとケニアの貿易総額をみると、2003年の約12億ドルから2022年には約34億ドルと3倍近くに拡大した(添付資料図参照)。2022年のEUのケニアからの輸入は約13億ドルで、花卉(かき)や紅茶、コーヒーなど、EUのケニアへの輸出は約21億ドルで、鉱物性燃料や機械、医薬品などが主な貿易品目となっている。

EPAが発効すると、ケニアからEUへの輸出については、武器以外の全ての品目に対する関税が即日撤廃されるが、ケニアは2016年にEU・EAC間のEPAを批准しており、既に関税の免除と数量制限なしの措置が取られているため変更はない。一方、EUからケニアへの輸出については、ケニアは金額ベースで82.6%の品目について関税撤廃を約束した。輸入の半数以上は既に無関税だが、残りについても原則15年間以内で段階的に引き下げ、うち2.9%の品目は25年間のうちに関税を撤廃する。撤廃対象から除外されるセンシティブ品目には、さまざまな農産品やワイン、スピリッツ、化学品、プラスチック、紙、テキスタイル、衣類、履物、セラミック製品、ガラス製品、卑金属類、自動車が含まれている。また、今回のEPAでは、人権や気候変動にかかる「貿易と持続可能な開発」の章が新たに加えられた。

ケニアのウィリアム・ルト大統領は農産品の輸出拡大に力を入れており、東南アジアなど新たな市場開拓にも取り組んでいる。2022年7月には「米国ケニア戦略的貿易・投資パートナーシップ(STIP)」の立ち上げを発表した(2022年7月15日記事参照)。2023年4月17~20日に両国間の第1回交渉が実施され、概要が公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされている。このほか、2022年7月にはアラブ首長国連邦(UAE)とも包括的経済連携協定の交渉開始が発表されているが、妥結には至っていない。

(佐藤丈治)

(ケニア、EU、米国、アラブ首長国連邦)

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