5月の消費者物価上昇率、前年同月比4%、中銀の目標範囲に

(インドネシア)

ジャカルタ発

2023年06月13日

インドネシア中央統計庁(BPS)は6月5日、5月の消費者物価指数(CPI)の上昇率を前年同月比4.00%、前月比0.09%と発表した(添付資料表、図参照)。7カ月ぶりに4%台となった3月の4.97%、4月の4.33%に続いて伸び率は3カ月連続で鈍化し、中央銀行が定めるインフレ目標(2~4%)の範囲に入った。価格変動の大きい食品やエネルギーを除いたコアインフレ率は前年同月比2.66%(前月比2.83%)だった。

前年同月比のCPI上昇率では、主要11品目のうち情報・通信・金融サービスを除く10品目が上昇した。最も上昇率が高かったのは輸送で10.62%上昇した。パーソナルケア・その他サービス(4.48%)、食品・飲料・たばこ(4.27%)と続いた。情報・通信・金融サービスは0.27%下落した。

前月比の上昇率では、食品・飲料・たばこが最も高く、0.48%だった。家庭用機器、工具、定期メンテナンス(0.20%)、レストラン(0.15%)が続いた。輸送は0.56%、衣類・履物は0.46%ともに下落した。

地域別にみると、調査対象となっている90都市の全てで上昇した。前年同月比で上昇幅が最も大きかったのは、南カリマンタン州コタバルと中部パプア州ティミカで、ともに6.04%だった。最も低かったのは、バンカブリトゥン州パンカルピナンで 1.93%だった。また、前月比では77都市で上昇し、13都市で低下した。ジャカルタ首都特別州では前年同月比3.52%、前月比0.10%の減少となった。

インドネシア経済法律研究センター(CELIOS)のビマ・ユディスティラ所長は「5月のインフレ率は低水準となったが、日用品の価格が依然として高騰している。また、中間層の多くは世界経済の状況を踏まえ、消費を控えている」と述べた。

インドネシア経済改革センター(INDEF)のエコ・リスティアント次長は「今後、エルニーニョ現象の発生によって食糧生産が減少し、インフレが引き起こされるリスクなどには注意が必要」としている(「リパブリカ」6月6日)。

(八木沼洋文)

(インドネシア)

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