第1四半期の成長率は前年同期比マイナス10.5%、カホフカ・ダム決壊が今後経済に打撃の恐れ

(ウクライナ)

欧州課

2023年06月14日

ウクライナ国家統計局の発表(6月9日)によると、同国の2023年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率は前年同期比マイナス10.5%だった。5期連続のマイナスとなったが、前期の伸び率と比べて20.9ポイント改善した(添付資料図参照)。季節調整済み前期比の成長率はプラス2.4%だった。

ユリア・スビリデンコ第1副首相兼経済相は、前年同期比伸び率が同省の見通し(マイナス14.1%)よりよかったとし、「ウクライナ経済が予想より早いペースで適応かつ回復している」と評価した(経済省発表6月9日)。政府の企業向け低利融資と起業支援プログラム、破壊されたインフラや住居、社会的施設への投資がこれに寄与したという。

スビリデンコ副首相は今後の懸念材料として、ロシアによる軍事侵攻の継続に加え、ウクライナ産穀物輸出に関する作業の遅れや、同国産農産品の近隣諸国での輸入・通過の制限、6月6日に起きたウクライナ南部ヘルソン州のカホフカ水力発電所のテロリストによる破壊を挙げた。

ウクライナの調査機関の経済戦略センターが取りまとめたカホフカ水力発電所ダム決壊による経済への影響によると(添付資料表参照)、主力産業である農業への悪影響のほか、鉄鋼業でも水消費制限による減産の恐れが指摘されている。

IMFは5月30日、2023年のウクライナのGDP成長率見通しをプラス1~3%と発表、3月時点のマイナス3~プラス1%から引き上げていた。

(浅元薫哉)

(ウクライナ)

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