5月の米小売売上高、市場予想上回る前月比0.3%増で2カ月連続の増加、自動車や建材が押し上げ
(米国)
ニューヨーク発
2023年06月16日
米国商務省の速報(6月15日付)によると、5月の小売売上高(季節調整値)は前月比0.3%増の6,866億ドル(添付資料表参照)と、2カ月連続の増加となり、ブルームバーグがまとめた市場予想(0.2%減)を上回った。なお、4月の売上高は、前月比0.4%増(速報値、2023年5月17日記事参照)から改定されなかった。
自動車・同部品、建材・園芸用品、無店舗小売りなどが押し上げ要因
業種別にみると、自動車・同部品が前月比1.4%増の1,320億ドル(寄与度:プラス0.26ポイント)と、全体を最も押し上げた。次いで、建材・園芸用品が2.2%増の425億ドル(プラス0.13ポイント)、無店舗小売りが0.3%増の1,122億ドル(0.05ポイント)と増加に寄与した。一方、ガソリンスタンドは2.6%減の531億ドル(マイナス0.21ポイント)と減少した。
今回の発表を受け、全米小売業協会(NRF)のチーフエコノミストのジャック・クラインヘンズ氏は「一部の業種では買い控えがあったが、今回の結果は消費意欲が依然として旺盛なことを裏付けている。インフレが個人所得を圧迫しているものの、雇用拡大と賃金上昇で活気が出てきている。5月は通常、春商戦のピークを迎えるため、小売業にとって好調な月だが、平均を上回る気温と平均を下回る降水量が良い影響を与えたことに間違いないだろう」と述べている。
一方、民間調査会社コンファレンスボードが5月30日に発表した5月の消費者信頼感指数は102.3と、4月(103.7)から1.4ポイント減少し、2022年11月(101.4)以降で最も低い水準に落ち込んだ(添付資料図参照)。内訳をみると、現在の雇用環境や経済状況を示す現況指数が148.6(4月:151.8)と3.2ポイント減少し、2022年末(12月:147.4)以来の低水準となった。6カ月先の景況見通しを示す期待指数は71.5(4月:71.7)とわずかに減少した。期待指数は、今後1年以内の景気後退を示唆する80を下回る水準で推移しており、依然として景気後退のリスクが高いことを示唆している。
コンファレンスボードの経済指標シニアディレクターのアタマン・オジルディリム氏は「消費者信頼感は過去3カ月間、全ての年齢・所得カテゴリーで低下しているが、5月の低下は、55歳以上の消費者の見通しが特に悪化したことを反映している」と述べた。また、同氏によると、消費者は引き続きインフレを注視しているが、今後6カ月間の住宅購入計画は安定的に推移しており、自動車や大物家電の購入計画も4月よりやや上昇しているという。
(樫葉さくら)
(米国)
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