米エネルギー省、フォードとSKの合弁企業ブルーオーバルSKに92億ドル融資

(米国、韓国)

アトランタ発

2023年06月28日

米国エネルギー省(DOE)融資プログラム局(LPO、注1)は6月22日、米国フォード・モーターと韓国SKオンの合弁会社のブルーオーバル SK(BOSK、2021年9月29日記事参照)に対し、電気自動車(EV)用バッテリー生産能力拡大のための新工場建設に、最大92億ドルの条件付き融資(注2)を行うと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

今回の融資は、2009年の金融危機での救済措置以来、米国自動車メーカーに対する政府支援として最大となる(ブルームバーグ6月22日)。同プロジェクトは、テネシー州とケンタッキー州で合計約5,000人の建設雇用を創出し、工場稼働後は7,500人の雇用を創出する見込みだ。

テネシー州で1カ所、ケンタッキー州で2カ所の工場建設が融資の対象となる。2025年の稼働後、3つの工場の合計生産能力は年間120ギガワット時(GWh)以上となり、年間約120万台のEVに電力を供給できる見込みだ。また、これらのバッテリーを搭載した自動車の耐用期間中、年間4億5,500万ガロン(約17億2,000リットル)以上のガソリンを代替することになる。

DOEのBOSKに対するバッテリー生産支援は、米国が電動化の取り組みを強化する中で、クリーンエネルギーと輸送の未来に不可欠な製造技術を米国内に回帰させ、国内サプライチェーンを育成するという目標に沿ったものだ。BOSKのロバート・リー最高経営責任者(CEO)は「この融資は重要な国内サプライチェーンの強化に使われる」と述べた(ロイター6月23日)。

なお、2022年8月に成立したインフレ削減法では、1キロワット(kW)当たり45ドルのバッテリー生産税額控除が新設された。同税額控除について、フォードのジム・ファーリー会長兼最高経営責任者(CEO)は2022年10月、「2023年から2026年にかけて、フォードとバッテリーパートナーが利用可能な税額控除は、総額70億ドル以上になると見積もっている」と述べている。

(注1)LPOは、大規模なエネルギーインフラプロジェクトに対する融資を管轄する機関。

(注2)LPOが最終的なローンを発行する前に、特定の条件を満たす必要がある。

(吉田祥子)

(米国、韓国)

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