米フォードと韓国SK、テネシーとケンタッキーでのEVとバッテリー工場建設に114億ドル投資へ

(米国、韓国)

アトランタ発

2021年09月29日

米国フォード・モーターと韓国SKイノベーションは9月27日、米テネシー州とケンタッキー州で電気自動車(EV)とEVバッテリーの新工場建設に114億ドルを投資することを発表した。フォードが70億ドル、SKが44億ドルをそれぞれ出資する。フォードは2025年までにEVバッテリー開発をはじめとする電動化に向けて300億ドル以上を投資する方針を2021年5月に明らかにしていたが、今回の投資は単体の投資案件として同社創業以来118年の歴史の中で最大の投資となる。

テネシー州には56億ドルを投資し、メンフィスの北東に「ブルーオーバルシティー」と呼ばれる3,600エーカー(約14.6平方キロメートル)のメガキャンパスを建設する。キャンパス内の新工場では大型ピックアップトラック「Fシリーズ」の次世代EVの組み立てと、EV向けバッテリーセルの生産を行うほか、サプライヤーが集積するサプライヤーパークもキャンパス内に設ける予定だ。操業開始は2025年を予定しており、6,000人の雇用創出が見込まれている。また、環境への影響を最小限とすべく、再生可能エネルギーの使用をはじめキャンパスのカーボンニュートラル実現も目標としている。

ケンタッキー州では58億ドルを投資し、ルイビルの南に1,500エーカー(約6.1平方キロメートル)のバッテリーパークを建設する。同パークには2つの工場を建設し、フォードおよび同社の高級車ブランド「リンカーン」のEV向けリチウムイオンバッテリーを生産する。2つの工場はそれぞれ2025年、2026年の操業開始を予定し、5,000人の雇用創出が見込まれている。

両州のEVバッテリー新工場に対する投資は、フォードとSKの合弁会社であるブルーオーバルSK(BlueOvalSK、注)を通じて行う。3つの工場でのバッテリー合計生産容量は年間129ギガワット時(GWh)で、年間100万台分のEVバッテリーの生産が可能となる見込みだ。

今回の大型投資事業について、テネシー州のビル・リー知事は「テネシー州が自動車産業と先端製造業の未来をリードする上で重大な分岐点」とし、ケンタッキー州のアンディ・ベシア知事も「ケンタッキー州の自動車製造業の未来におけるリーダーとしての役割を固める」と語り、ともに両州が米国の今後の自動車業界を牽引していく姿勢を強く示した。

(注)フォードとSKイノベーションは米国でのEVバッテリーの生産を行う合弁会社ブルーオーバルSK 設立に関する覚書を2021年5月に締結した(2021年5月28日記事参照)。

(石田励示)

(米国、韓国)

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