CATL、大型EVトラック向けバッテリー交換サービスを発表、貨物輸送の効率化図る
(中国)
広州発
2023年06月22日
中国の車載電池最大手の寧徳時代新能源科技(CATL、本社:福建省寧徳市)は6月12日、自社開発した大型のEVトラック向けのバッテリー交換ワンストップソリューション「騏驥換電」を発表した。
CATLの紹介によると、同ソリューションにはバッテリー、バッテリー交換ステーション、クラウドプラットフォームが含まれる。同ソリューションを活用することで、5分以内に大型EVトラックのバッテリーを交換することができるため、バッテリーの充電が遅いなどの課題を解決し、輸送効率を大幅に向上させることが可能となる。コスト面では、年間20万キロを走行する場合、原油価格や車両購入費に大きな変動がないとの前提で、大型トラックの使用コストを年間3万元~6万元(約60万円~120万円、1元=約20円)削減できるという。また、中国の長距離輸送で使用されている大型トラックは900万台で、年間の炭素排出量は合計4億4,000万トンに達しているが、同ソリューションを活用することで二酸化炭素(CO2)やほかの大気汚染物質の排出を効果的に削減できるとした。さらに、171キロワット時(kWh)のセル(単電池)をモジュール化する設計により、ユーザーは異なる道路状況や距離、積載量など各シーンに応じてバッテリーの使用数を自由に調整できる。これにより、バッテリー数を減らせば総重量も減少し、その分、積載量を増やすなど調節することが可能になり、貨物輸送の効率化を図れるようになるという。
中国自動車工業協会(CAAM)の統計データによると、中国の2022年の大型トラック販売台数は約67万台、うちEVは前年比約2.5倍の1万9,989台だった。伸び率は高いものの、大型トラック販売台数に占めるEVの比率はわずか3%で、同時期の乗用車販売台数に占めるEV比率(21%)をはるかに下回っている。商用車大手メーカー宇通商用車の程輝氏は、大型トラック販売台数に占める新エネルギー車(注1)の比率は2025年に12%、2030年には30%に拡大すると予測した。市場規模について、中国科学院・欧陽明高院士(注2)は、バッテリー交換式の大型トラックの販売量が2025年に10万台、2030年には30万台に拡大し、新エネ大型トラックの保有台数は2023年に5万台に達し、うちバッテリー交換式が70%以上を占めるとの見通しを示した(「毎日経済新聞」6月6日)。
(注1)新エネの大型トラックは電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)に大別される。
(注2)院士とは、中国の科学技術研究機関である中国科学院および中国工程院の会員を指す、中国で科学技術領域と工学技術領域の最高栄誉の称号。
(汪涵芷)
(中国)
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