2023年の世界半導体市場予測は前年比10.3%減、減少幅広がる
(世界)
国際経済課
2023年06月07日
世界半導体統計(WSTS)は6月6日、2023年春季半導体市場予測で、2023年の半導体市場は前年比10.3%減の5,151億ドルとの見通しを発表した。前回(2022年11月)見通し(4.0%減)からさらに6.3ポイント(市場規模で415億ドル相当)の下方修正となり、減少幅が拡大した(添付資料図参照、2022年11月30日記事参照)。
WSTSは伸び率の鈍化について、2022年後半から続く世界的な高インフレや地政学的リスクの高まりによる個人消費などの需要減退の長期化を指摘した。
製品別にみると、全体の80.1%を占める集積回路(IC)は、スマートフォンやパソコン、民生機器などの需要低迷が影響し、前年比13.0%減と予測。前回予測(3.7%増)からマイナスに転じた。内訳をみると、前回は2桁プラス成長予測だったアナログIC(5.7%減)、ロジックIC(1.8%減)とマイナス成長となった。メモリーIC(35.2%減)、マイクロIC(9.6%減)はさらなる縮小を見込む。
多くの製品で前年割れの見通しとなる中でも、パワー半導体などのディスクリート(個別半導体、5.6%増)、オプトエレクトロニクス(4.6%増)はプラス成長を維持した。特に自動車、再生エネルギー関連向けの需要は強く、パワーディスクリートの成長は継続するとしている。
国・地域別では、欧州(注)は6.3%増、日本は1.2%増と予測した一方、全体の54.5%を占めるアジア大洋州(日本を除く、以下同)は15.1%減、24.9%を占める米州は9.1%減と予測した。米州は前回(0.8%増)から大幅な下方修正となった。
2024年の市場規模については、世界経済の回復を前提として、前年比11.8%増の5,760億ドルと、過去最高だった2022年を上回る規模まで回復すると予測した。商品別では、メモリーICが43.2%増と回復し、その他のICの各製品の伸び率もプラスに転じる見通しだ。国・地域別では、全ての地域で前年比から増加する見通しで、米州は17.7%増、アジア大洋州は10.7%増と2桁増に、欧州(7.7%増)、日本(7.8%増)でも市場規模の拡大を見込む。
(注)欧州には中東アフリカを含む。
(田中麻理)
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