5月の自動車生産・輸出は底堅さ続く、国内販売も好調

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2023年06月27日

アルゼンチン自動車製造業者協会(ADEFA)は6月5日、5月の自動車(トラック、バスを除く)の生産台数と輸出台数を発表した。生産台数は前月比2.1%減、前年同月比14.8%増の5万3,282台、輸出台数は前月比1.5%減、前年同月比13.1%増の3万279台だった(添付資料「図1 自動車生産台数の推移」、「図2 自動車輸出台数の推移」参照)。1~5月の累計輸出台数を仕向け地別にみると、ブラジル、コロンビア、チリ、ペルー向けが輸出台数全体を押し上げた(添付資料「表 仕向け地別輸出代数」参照)。3月まで輸出台数の伸びを牽引していた中米諸国向けは減速した。

5月単月の生産台数の前月比減少は、ADEFAによると、保守や新モデル生産に向けた製造ライン調整によるもので、生産は好調を維持している。

自動車はアルゼンチンの輸出額の1割程度を占める重要な産業で、政府も自動車の生産と輸出を後押しする制度を相次いで施行している。まず、2022年9月公布の自動車・自動車部品製造会社による新たな生産プロジェクトに対して優遇措置を与える自動車・自動車部品およびバリューチェーン投資促進法(法律27686号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の施行規則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますが5月29日に公布された。6月15日には不完全現地組み立て車(IKD)の輸入税を14%に低減することで国内の自動車製造会社に生産車種の拡大を促す新制度を導入する政令310/2023号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布した。

自動車製造会社も活発に動いている。フォードは6月13日、6億6,000万ドルを投じて改修した工場でピックアップトラックの新型レンジャーの生産を開始したと発表した。工業生産・開発庁によると、7割は輸出に向けられる。トヨタも6月12日、5,000万ドルを投じて2024年1月から商用車ハイエースの生産を開始すると発表している。

アルゼンチン自動車販売代理店協会(ACARA)の6月1日の発表によると、5月の自動車国内販売(新車登録)台数(トラック・バスを含む)は前月比13.5%増、前年同月比12.5%増の3万8,539台だった〔添付資料「図3 新車販売(登録)台数の推移」参照〕。登録台数に占める国産車の比率は64.5%と、前月比で0.6ポイント、前年同月比で6.7ポイント上昇した。堅調な自動車販売の理由について、ACARAのリカルド・サロメ会長は、現地通貨ペソの下落が続く中、自動車購入が資産の保全につながり、かつ実用的だからとの見方を示している。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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