米プラグパワーなど、フィンランドでのグリーン水素生産加速へ

(フィンランド、米国)

ロンドン発

2023年06月08日

米国のプラグパワーは5月30日、フィンランドで3基のグリーン水素プラントを開発すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。3つの自治体から同日、土地利用に関するコミットメントを得た。

同社はPEM電解槽(注1)と液化技術を使用して、今後10年以内に1日当たり850トン、電解槽容量2.2ギガワット(GW)のグリーン水素製造を目指す。

  • コッコラ(中西部):1GWの電解槽により1日85トンの液体グリーン水素と、年間最大700キロトンのグリーンアンモニアを製造し、コッコラ港から西欧へ輸出。
  • クリスティネスタッド(南西部):1GWの電解槽により製鉄用のグリーン水素を製造し、クリスティネスタッド港から輸出。
  • ポルボー(南部):2030年までに1日最大100トンのグリーン水素を製造予定のパイプラインを通じて西欧に輸出。

プラグパワーは今回の計画に当たり、フィンランドの国営送電会社フィングリッドと、国営送ガス会社ガスグリッドとも覚書を締結した。アンモニアプラントの開発ではドイツのHy2Genとの提携を発表。

フィンランドでのグリーン水素の取り組みは加速している。

フィンランドの再生可能燃料メーカーのネステは5月3日、ポルボーで欧州最大級のグリーン水素精製所稼働の計画を進め、2026年に生産を開始予定と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。政府系機関ビジネスフィンランドから2,770万ユーロの公的資金が供与されている。

ガスグリッドは5月2日、国内初の水素輸送パイプライン建設に向け、デモプロジェクトの基礎設計に移ると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。EUの復興基金「次世代のEU」から950万ユーロを得て、2023年は基礎設計に取り組む。同社は5月23日には、水素経済の可能性に関する3つのシナリオ(注2)を作成したと発表。同社のシナリオによると、2030年には約35~50テラワット時(TWh)、2040年には80~135TWhのクリーン水素がフィンランドで製造される見込み。これらの水素製造に向け、フィンランドでは2030年までに10~15GW、2040年には約25~40GWの電解槽容量の導入が見込まれる。EUで製造される水素のうち、フィンランドの市場シェアは2030年までに11~14%、2040年には12~21%へと拡大する見込み。

(注1)固体高分子電解質(Polymer Electrolyte Membrane:PEM)を用いて水を電気分解してグリーン水素を製造する技術。

(注2)水素の輸出パターンに関して、Eフューエルなどの製品のかたちで輸出する場合、欧州大陸へのパイプラインで輸出する場合、製品輸出とパイプライン輸出の双方を利用する場合の3シナリオ。

(松丸晴香、半井麻美)

(フィンランド、米国)

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