2022年第4四半期もオーストラリア・NZでインフレ続く

(オーストラリア、ニュージーランド)

シドニー発

2023年02月06日

オーストラリア統計局(ABS)は1月25日、2022年第4四半期(10~12月)の消費者物価指数(CPI)が前期比で1.9%上昇したと発表した。2022年は全ての四半期において、財・サービス税(GST、注1)が導入された2000年以降で最も高い水準が続いた。前年同期比では7.8%上昇し、1990年以来32年ぶりの高い水準となった。

2022年第4四半期における物価上昇の主な要因は、休暇国内旅行・宿泊(前期比13.3%上昇)、電気料金(8.6%上昇)、休暇海外旅行・宿泊(7.6%上昇)だ。特に、クリスマス休暇時期の国内・海外旅行需要が堅調で、航空チケットの価格上昇が影響した。電気料金については、上昇の主な要因は、オーストラリアの発電に占める割合(注2)が7割を占める化石燃料の価格が上昇していることに加え、西オーストラリア州政府による住民への電気料金負担軽減策〔1世帯当たり400オーストラリア・ドル(約3万6,800円、豪ドル、1豪ドル=約92円)の補助〕が第4四半期で実施を終了したことだった。

新築住宅価格は、前期比1.7%の伸びで、第2四半期(5.6%)、第3四半期(3.7%)から比べて緩やかな伸びになった。一方で、ABSは過去の統計からみた標準的な伸び率と比較すると高止まりしていると分析する。また上昇要因について、ABSは「新築住宅価格の上昇は人件費、資材費などの高騰によるものだが、資材費については価格上昇圧力が緩和する兆しもある。過去5四半期と比較すると新規住宅価格の上昇率が低下したため、新築住宅建設の需要は緩やかになっている表れだ」と分析した。

ジム・チャルマーズ財務相は「インフレ率は受け入れがたいほど高い水準だが、ピークに到達した可能性を示す兆候がいくつか見られるものの、2023年第1四半期の数値が明らかになるまでは確定できない」と説明した。

ニュージーランドでも前期比1.4%上昇

ニュージーランド統計局は1月25日、2022年第4四半期のCPI上昇率が前期比1.4%と発表した。主に住宅・光熱費(1.3%上昇)、食品(1.8%上昇)、レクリエーション・文化(3.4%上昇)などの価格上昇が影響した。前年同期比では7.2%上昇した。

(注1)GSTは、オーストラリア国内で消費されるほぼ全ての商品、サービスに課される税金。税率は取引価格の10%〔GST(商品サービス税):オーストラリア参照〕。

(注2)オーストラリアの発電に占める化石燃料の割合は、気候変動エネルギー省によると2021年で71%(石炭51%、天然ガス18%、石油2%)。

(青島春枝)

(オーストラリア、ニュージーランド)

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