欧州風力協会、IT企業と許認可プロセス迅速化へ向けたツール開発

(EU)

ブリュッセル発

2023年05月02日

欧州風力協会(ウインド・ヨーロッパ)は4月26日、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)とアクセンチュアとともに、欧州の風力発電施設の許認可プロセスの効率化のため、デジタルプラットフォーム「イージーパーミット(EasyPermits)」を開発したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

EUは3月30日、再生可能エネルギー(再エネ)指令の改正案について政治合意し、2030年のEU全体の最終エネルギー消費ベースのエネルギーミックスに占める再エネ比率を42.5%とするとした(2023年4月3日記事参照)。新指令では、目標達成に向けて再エネ施設の増設を進めるため、加盟国は認可を2年以内に与えることと定めた。ウインド・ヨーロッパは、同規定が「ゲームチェンジャーとなる」と歓迎したが、風力発電施設の許認可には一部の国では最長9年かかるとされ、「法規だけでは再エネ推進は実現できない」として、「手段」としてEU加盟国の許認可当局や地方自治体、都市計画者向けのデジタルツールが必要だとして、イージーパーミット開発の意図を説明した。

AWSの4月26日付の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、イージーパーミットは同社のストレージサービス「S3」やサーバーレスコンピューティングサービス「Lambda」などを活用したエンドツーエンドのツールで、関連書類のデータがデジタル化され、自動的に抽出されることから、関係当局が審査を迅速かつ効率的に行うことが可能となる。また、自動化されたチェックリストやワークフローから関係者に必要な通知を送り、審査の正確性が増すことや、単一のリポジトリで関連文書を受領、管理、審査すること、審査の進捗状況について透明性を確保することも可能になるとした。申請する事業者側は、イージーパーミット上の定型化されたワークフローや申請用のテンプレートを利用することで、さらに一貫した事業提案を作成することができ、関係当局は、申請事業の便益評価や、環境および経済的影響に関する文書など審査に必要な情報が参照しやすくなる。

今回発表されたものはプロトタイプで、AWSはシステムの改良と完成には多くのユーザーからのフィードバックが必要だとして、風力発電産業の関係者に対し協力を呼びかけた。

(滝澤祥子)

(EU)

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