第1四半期のGDP、民間消費の落ち込みで2期連続のマイナス成長に

(チリ)

サンティアゴ発

2023年05月25日

チリ中央銀行の発表(5月18日)によると、2023年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率は前年同期比マイナス0.6%で、2期連続のマイナス成長となった。

GDP成長率を需要項目別にみると、内需は前年同期比8.0%減だった(添付資料表1参照)。民間消費が前年同期比6.7%減と大幅に減少したためで、2022年第3四半期(7~9月)から3期連続で前年同期比減となった。高いインフレの影響を受けた財では、食料品や衣料品に加え、テクノロジー製品や自動車などの耐久消費財の支出減が目立った。

一方で、政府消費は教育サービスや医療サービスの拡大により、前年同期比3.9%増だった。

総固定資本形成(投資)は前年同期比2.1%減となった。産業用機械への投資減を反映して、設備投資が2.2%減、非住宅建設や修繕工事の減少により、建設・その他の投資も2.0%減だった。

財・サービスの輸出入では、輸出が2.4%増、輸入が17.4%減だった。輸出は主に銅、木材、パルプ製品の出荷量が減少したが、サクランボ出荷量の増加によって、前年同期比でプラス成長となった。輸入は産業用機械、衣類、履物の輸入が減少したものの、サービスの輸出入は観光業の回復により、ともに増加した。

成長率を経済活動別にみると、マイナス成長の要因は主に商業、金融サービス、農林業の減少によるもの(添付資料表2参照)。商業はスーパーマーケットなどの小売業や、卸売業の中間財や家庭用品の売り上げが減少した。農林業はオーツ麦やジャガイモの作付面積が減少し、果物は輸出用のブルーベリーの生産量が減少した。林業では製材産業向けの木材の生産量が減少し、畜産業では牛乳や卵の生産量が低下した。

経済活動別のGDP成長率の寄与率をみると、主に上述した商業(マイナス156.6%)、金融サービス(マイナス79.4%)、農林業(マイナス83.9%)で大幅なマイナスが見られた。プラス要素としては、個人サービス(寄与率208.2%)と電気・ガス・水道(128.9%)が際立っており、後者については、水力、太陽光、風力などの再生可能エネルギーによる発電が促進されたことに起因した。

中銀は4月に発表した金融政策報告書の中で、2023年通年のGDP成長率はマイナス0.5~0.5%になるとの予想を発表している。

(岡戸美澪)

(チリ)

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