ベルリン市、やり直し選挙を経て新連立政権が発足

(ドイツ)

ベルリン発

2023年05月01日

ドイツの首都ベルリン市(州に相当)で4月27日に新たな政権が発足外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

ベルリン市では2021年9月に市議会選挙が行われた(2021年9月30日記事参照)。しかし、一部の投票所における他選挙区の投票用紙の誤使用や、投票時間終了後の午後6時以降の投票継続など、複数の選挙規則違反が発生。これを受け、ベルリン州憲法裁判所は2022年11月16日、2021年9月の選挙は市内全選挙区で無効と判断した。そのため、2023年2月12日にやり直し選挙が実施された。

2021年9月の市議会選挙後には、第1党となった社会民主党(SPD)、緑の党、左翼党の3党が連立を組んでいた。今回のやり直し選挙では、SPDが得票率18.4%(2021年9月選挙との得票率の差:3.0ポイント減)と第1党から転落、緑の党が18.4%(0.5ポイント減)、左翼党は12.2%(1.9ポイント減)と振るわず、与党3党がいずれも得票率を下げた。一方で、中道派のキリスト教民主同盟(CDU)が28.2%(10.2ポイント増)と躍進した。その他の政党では、中道リベラルの自由民主党(FDP)が4.6%(2.5ポイント減)で議席獲得に必要な5%に届かずに議席を失い、極右の「ドイツのための選択肢(AfD)」が9.1%(1.1ポイント増)だった。この結果、ベルリン市議会の各党の議席は、CDUが52議席、SPDが34議席、緑の党が34議席、左翼党が22議席、AfDが17議席となった(合計159議席)。

やり直し選挙の結果を受け、市議会で過半数(80議席)を確保する連立協議が行われた。その結果、第1党のCDUと第2党のSPDの2党による連立が決定。両党は4月26日に連立協定書に署名した。

翌27日にはベルリン市議会で、ベルリン市長にCDUベルリン代表のカイ・ベーグナー氏が選出外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた。CDUの与党入りと市長選出は22年ぶり。前市長のフランツィスカ・ギファイ氏(SPD)は副市長兼経済・エネルギー・公共企業担当に就任し、新政権の一員となった。

新政権は上述の連立協定書で、市政で今後重点的に取り組む分野に以下を掲げている。

  • 行政の現代化とデジタル化:必要かつ抜本的な行政改革を早急に進める。
  • 交通:公共交通機関を拡充・強化する。
  • 住宅供給:市内の家賃上昇の問題に対応し、安価な住宅建設と賃借人保護の両立を検討する。また、住宅建設を促進するための行政手続きの簡易化を検討する。
  • 気候保護対策:100億ユーロを投じて、建物のエネルギー効率化を図る改修と、再生可能エネルギー供給の両方を促進する。
  • 市内の治安・安全:警察官と消防士を最大1,000人増員し、装備(ボディーカメラなど)も拡充する。

(中村容子)

(ドイツ)

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