輸送手段の確保が課題、スーダン現地企業にビジネスへの影響を聞く

(スーダン、日本)

カイロ発

2023年05月12日

スーダンで続く軍事衝突によって、一部海運企業が業務を停止するなど、同国の主要な農産品、アラビアガムやゴマの輸出への影響も懸念されている。スーダン情勢に関するビジネスの課題について、プロシードワールドグループ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの最高経営責任者(CEO)タリク・ハリル氏に聞いた(5月8日、前編は2023年5月11日記事参照)。

(問)貴社事業への影響は。

(答)当社商品(アラビアガム、ひよこ豆、スイカの種など)の多くは、ハルツームや近郊の加工場兼倉庫にある。ハルツーム南部のソバ工業地区に2カ所の拠点を持っているが、ここは準軍事組織の迅速支援部隊(RSF)が優勢で、多くの略奪や焼失事件が起きている。幸い、当社工場はまだ安全が保たれているが、近隣の企業と協力し、略奪や強盗のリスクがある状況下、警備態勢を強めている。ハルツーム北部にあるオムドゥルマン工業地区にも2カ所拠点があるが、ハルツーム近郊からポートスーダン港までの輸送手段の確保が喫緊の課題となっている。ただ、アラビアガムやキマメは、紛争発生地域以外の倉庫にも十分な在庫があるため、他の輸出関連の障害が解決されれば、すぐに輸出することができる。

(問)ビジネス継続への取り組みは。

(答)多くの貧しい農業従事者が当社に依存しているため、業務を継続させることはとても重要だ。戦闘から避難しなければならない人々が大量に発生している厳しい状況の中、最低限の資本、人員でも事業を継続できるよう試みているが、早く安全と平和が戻ることを願っている。

(問)日本企業へのメッセージは。

(答)直近の主な輸出先は、EUとインドの大手企業だった。残念ながら、日本企業との取引は、国軍とRSFが衝突する前に既に終了していた。しかし、日本でもアラビアガムに需要はあると理解しており、食品原料商社との取引を模索していた。

国外のパートナーや顧客とのビジネス関係を維持し、経済、生産者、顧客のために、この難局を乗り切りたいと願っている。スーダンの生産者の生活を維持するために、われわれが扱っている商品のどれかで、何らかのビジネスを確立できればうれしい。今できることは、関係者と連絡を取り合いながら、取引再開の機会を待つことだ。

(福山豊和)

(スーダン、日本)

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