タイ商務省、迂回輸出を目的とした偽造原産地証明書への対策を強化

(タイ)

バンコク発

2023年05月18日

タイ商務省外国貿易局(DFT)は5月11日、輸出相手国の税関当局と連携し、原産地証明書(C/O)を偽造するなどの不正行為をした事業者に対する法的措置を強化していることを明らかにした。タイから輸出された製品が仕向け地で輸入される際、仕向け地の税関当局がC/Oの真正性に疑いをもった場合は、タイ側のC/O発給当局であるDFTに確認(検認)を求めることがある。2022年中、DFTは仕向け地の税関から1,055件のC/Oについて検認を求められた。内訳は、特恵C/O(フォームD、フォームE、フォームAK、フォームAIなど)(注)が788件、非特恵C/Oが267件だった。

検認の結果、正規の機関が発行していない偽造C/Oが604件あったことが判明した。そのうち特恵C/Oが382件、非特恵C/Oが222件だった。内容としては、他の輸出者のC/O参照番号を悪用したり、承認されていないC/O参照番号を設定したりするといった不正が確認された。主に原産地を詐称する目的などで迂回輸出を行っているとみられ、こうした行為の防止措置を続けるため、DFTは違反者に迅速な対応を行うとともに、仕向け地の税関当局と情報交換の調整を続けている。

偽造C/Oの例として、(1)中国向けのドリアン輸出で提出されたフォームE、(2)ロシア向けの合金ホイール輸出で提出された非特恵C/Oなどがあった。この2件については、両国の税関当局に対して、調査結果を通知するとともに、違反者に対する法的措置を開始するための追加情報の提供を要請した。

DFTは不正行為への対策として、C/OにQRコードを追加して情報や書類の認証をできるようにすることや、透かしを入れて偽造を困難にする機能を追加したC/O発行システムの開発を検討している。

(注)フォームDはASEAN物品貿易協定(ATIGA)、フォームEはASEAN中国自由貿易協定(ACFTA)、フォームAKはASEAN韓国自由貿易協定(AKFTA)、フォームAIはASEANインド自由貿易協定(AIFTA)におけるC/Oの名称。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ)

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