岸田首相がケニア訪問、幅広い分野で協力を確認

(ケニア、日本)

ナイロビ発

2023年05月12日

岸田文雄首相は4月29日から5月5日にかけて、エジプト、ガーナ、ケニア、モザンビークの4カ国を訪問した(2023年5月8日記事参照)。このうちケニアには5月2~3日の日程で訪問し、3日にはウィリアム・ルト大統領と首脳会談と共同記者発表を行った。2023年は日本とケニアの外交樹立60周年で、日本の首相のケニア訪問は2016年の第6回アフリカ開発会議(TICAD VI)以来7年ぶり、岸田首相は当時外相としてケニアを訪問している。

首脳会談は約100分間と長時間に及び、幅広い分野で両国間の協力関係が確認された。共同記者発表では、ルト大統領が法の支配に基づいた国際秩序の重要性を両国で確認したことや、インフラ開発、貿易投資、ブルーエコノミー、人材育成などでの日本の貢献に対して感謝の意などを示した。また、2023年のG7議長国・日本や参加国に対して、「アフリカの角」地域での「忘れられた紛争」に対する支援や、9月4~6日にナイロビで開催を予定している「アフリカ気候アクションサミット」を含むアフリカの気候変動対策への支援を要請した。経済面では、特に地熱発電や太陽光などのエネルギー開発や、モンバサ県のドンゴクンドゥ経済特区の開発について両国間で協力していくことが示された。

同時期には、外国要人のケニア訪問が相次いだ。4月30日にナイジェリアのイェミ・オシンバジョ副大統領、5月2日にカナダのメラニー・ジョリー外相、3日にアントニオ・グテーレス国連事務総長、クリスタリナ・ゲオルギエバIMF専務理事、ンゴジ・オコンジョ=イウェアラWTO事務局長、5日にはドイツのオラフ・ショルツ首相がケニアを訪問し、ルト大統領と会談を行った。2022年9月の就任後、目立った外交成果のなかったルト大統領にとって、今回の一連の外国要人のケニア訪問は外交面で大きなアピールとなったとの見方もある。現地紙ではそのほか、日本がケニアで実施するODA事業での二重課税問題について、ルト大統領が解決を約束したことなどを取りあげている。

(佐藤丈治)

(ケニア、日本)

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