日亜ビジネス環境整備委員会が開催、懸案の輸入規制改善は継続協議へ
(アルゼンチン、日本)
ブエノスアイレス発
2023年05月22日
第7回日亜ビジネス環境整備委員会が、アルゼンチン外務省別館のサン・マルティン宮殿で5月10日に開催された。ビジネス環境整備委員会は、2国間の貿易投資の促進やビジネスおよび制度上の課題など、ビジネス環境の改善を目的に、アルゼンチンで事業を展開している日本企業関係者らがアルゼンチン政府関係者と意見交換を行う会合。今回は2021年9月に開催された第6回から約2年ぶりの開催となった。
会合には、日本側から山内弘志・駐アルゼンチン日本大使、冨田実・在亜日本商工会議所副会頭および在アルゼンチン日系企業21社の関係者、アルゼンチン政府からはセシリア・トデスカ・ボッコ外務・通商・宗務省副大臣(国際経済関係担当)、マティアス・トンボリーニ経済副大臣(商業担当)らが参加した。
日本側からは、日系企業4社による事業計画や各社が抱えるビジネス課題の発表があった。第6回会合でも課題として挙げられたインフレの抑制、為替レートの安定、輸入規制の廃止など、経済・金融政策の安定性と予測可能性を高めることが依然として課題として残っていると指摘した。特に多くの日系企業が、2022年10月に政府が導入した新たな輸入管理システム「アルゼンチン共和国輸入システム(SIRA)」(2022年10月19日記事参照)の輸入許可が得られない状況を訴えた。
トデスカ・ボッコ外務副大臣は日本側からの要望に対して、日系企業にとっても厳しい状況であることは理解するとし、双方で協議と対話を継続しながら改善に導きたいと述べた。トンボリーニ経済副大臣は「2023年の目標は、インフレ率と投資水準の安定化、緩やかな経済成長を保つことだ」と述べ、アルゼンチンの経済運営の優先課題を強調した。その上で、「干ばつによって(穀物輸出による外貨収入が減り)、外貨準備高への圧力が高まっており、公式為替レートと並行為替レートの乖離幅が広がっている。この乖離幅が輸入の大幅な増加の原因となっている」「2023年1~4月の輸入申請が大幅に増加しており、この水準が続けば、年間の輸入額は1,200億ドルに達することになる。1,200億ドル相当の輸入を実現するには、日本など含む他国からの融資が必要だ」と、輸入許可が出ない背景を説明している。日亜ビジネス環境整備委員会ではこのほか、アルゼンチン政府側が投資有望分野として、水素、電気モビリティー、エネルギー転換に関する説明も行った。
会合が開催された外務省別館のサン・マルティン宮殿(ジェトロ撮影)
(山木シルビア)
(アルゼンチン、日本)
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