経済財政省、2023年成長率を2.5%に下方修正も、中南米の平均成長率を上回る見通し

(ペルー)

リマ発

2023年05月01日

ペルー経済財政省(MEF)は4月27日、「2023-2026 多年度マクロ経済状況レポート」に関する記者会見を行い、2023年の実質GDP成長率見通しを当初(2022年8月時点)の3.5%から、2.5%に下方修正した。アレックス・コントレーラス経済財政相は修正の背景について、2022年末にペドロ・カスティージョ前大統領の罷免に伴う国内南部や首都リマでの抗議活動のほか、エルニーニョ現象によるペルー北部での豪雨被害などが2023年第1四半期(1~3月)の経済成長率を鈍化させたためと説明している。一方で、コントレーラス経済財政相は今後の状況について、第2四半期(4~6月)以降は好転する見通しを示唆した上で、「ペルーは南米地域で引き続き最大の成長率を記録する」との考えを示した。

MEFによると、第1四半期の抗議活動と豪雨被害による経済損失は、それぞれ29億9,000万ソル(約1,100億3,200万円、1ソル=約36.8円)、42億2,330万ソルに上るという。その影響で第1四半期の民間投資も前期比でマイナス13.0%と、2009年以降、新型コロナウイルス感染拡大時以外で最大の下げ幅を記録した。MEFは一方で、2023年全体としては、最大の貿易相手国の中国の経済回復や国際的にインフレ減速が見通されているほか、鉱物資源を中心としたペルーの主要輸出産品需要が顕著なことや、安定した自国通貨などに後押しされ、他の主要な中南米域内諸国を上回る成長率が予測されている(注1)。

その他、コントレーラス経済財政相は、ペルーの健全な財政基盤(注2)を背景に、2022年末に発表した78億5,600万ソルに上る経済活性化計画「プラン・コン・プンチェ・ペルー〔Plan Con Punche Perú(頑張れぺルー計画)〕」や、2023年3月に発表した40億ソルに上る豪雨災害復興計画「プラン・コン・プンチェ・アテンシオン・ア・ラ・エメルヘンシア〔Plan Con Punche Perú: Atención a la Emergencia(頑張れペルー計画:非常事態支援版)〕」などにより、公共投資が前年比6.0%増になるとも見込んでいると述べた。

(注1)4月時点のIMF予測では、ペルーの成長率は2.4%となっているが、それでも、中南米平均成長率(1.6%)や、ブラジル(0.9%)、メキシコ(1.8%)、コロンビア(1.0%)、アルゼンチン(0.2%)、チリ(マイナス1.0%)など主要国を上回っている。

(注2)2022年のGDP比公的債務率(34.0%)、財政赤字率(1.7%)、外貨準備高比率(29.4%)、年間平均インフレ率(2.9%)。出所:中央準備銀行(BCR)

(設楽隆裕)

(ペルー)

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