米運輸省、空飛ぶクルマの実用化に向け、パブコメの募集開始

(米国)

ニューヨーク発

2023年05月22日

米国運輸省(DOT)は5月17日、エアタクシーなどの次世代エアモビリティ(Advanced Air Mobility: AAM)の実用化に関する国家戦略を策定するため、パブリックコメントの募集を開始した。官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公示した。AAMに関しては、2022年10月に成立した「次世代モビリティに関する調整およびリーダーシップ法」の下で、DOTが省庁間作業部会(IWG)を設立。米国航空宇宙局(NASA)、米国運輸保安局(TSA)、米国連邦航空局(FAA)、米国連邦通信委員会(FCC)などの関係機関とともに、自動化の戦略やセキュリティー要件、航空交通管制、インフラ開発、地域連携などに取り組む。

AAMとは、垂直または短距離離着が可能な、電動あるいはハイブリッドで運航する航空機のこと。従来の飛行機やヘリコプターに比べて小型で、無人による自動飛行も想定されている。都市部や輸送手段が乏しい地域などで、貨物の輸送のほか、空港から都市部への移動や緊急時の搬送手段としても注目されている。

AAMを巡っては、DOT下で航空輸送の安全を管轄するFAAが2022年11月に、航空会社の定義に垂直離着陸が可能な「パワードリフト」を運航する事業者を追加する提案を発表している。また2023年5月3日には、AAMの運用に関し、これまでの飛行空域や運航手続きの変更を含む青写真を発表するなど、新たな規制の整備を進めている。

2月には、テクノロジー会社のブレード・アーバン・エアモビリティと電動飛行機を開発するベータテクノロジーズがニューヨーク市とその周辺で、6人乗りのエアタクシーのテスト飛行を行うなど、民間企業による実用化に向けた取り組みも報じられた(NBCニュース2月15日)。

DOTは今回のパブリックコメントを通じて、主に(1)AAMの国家戦略に盛り込むべきこと、(2)AAM導入の成功を阻む既存の障壁、(3)AAM導入の成功の可能性を最大限高めるために、短期(2~3年)、中期(4~8年)、長期(8年以上)のそれぞれで、連邦政府が何に焦点を当てる必要があるか、の3点についての意見を求める。締め切りは2023年7月17日で、連邦政府のポータルサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますまたはeメール、郵送などで受け付ける(ドケット番号:DOT–OST–2023–0079)。詳細は官報を参照。

(大原典子)

(米国)

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