2022年のモバイルマネー取引高、初の1兆セディ超え

(ガーナ)

アクラ発

2023年05月18日

ガーナ中央銀行や現地報道によると、2022年のガーナのモバイルマネーの累計取引高は1兆72億3,000万ガーナ・セディ(約11兆5,428億5,580万円、1ガーナ・セディ=約11.46円)と、初めて1兆ガーナ・セディを突破し、前年比10%の伸びを記録した。取引件数とアクティブなモバイルマネーのアカウント数(注1)ともに、前年比で14%増となり、それぞれ50億6,000万回、2,040万件に拡大している。

モバイルコミュニケーションに係る業界団体GSMAの報告書(2023年4月25日記事参照)によると、ガーナ国内のモバイルマネーの主な用途は現金の引き出しや通信料金の支払い、個人間送金(P2P)だ。次いで、スーパーマーケットやレストランへの支払いや、タクシー・ウーバー、屋台や青空市場などの個人に対しての日常的な買い物の支払いが含まれる。国際送金への活用は1割に満たない。また、モバイルマネーの認知度は98%以上と非常に高く、男性の88%、女性の79%がモバイルマネーアカウントを保有している。

中銀の統計や現地報道によると、モバイルマネーの取引高は、インターネットバンキングの取引高の803億ガーナ・セディを上回る成長を見せている。さらに、現金自動預け払い機(ATM)の設置台数が2,256台なのに対し、現金の入出金を行うエージェントの数は50万5,000件に上り、銀行やATMに足を運ぶことなく、エージェント(注2)を通じて現金化やアカウントへの入金を行うことができる。

現地報道では、5月11日からガーナ電力公社(ECG)が電気料金の現金での店頭支払いを終了し、モバイルマネーでの支払い、もしくは銀行振り込みのみの取引となると発表した。アカウント数やエージェント数の増加により、モバイルマネーは利便性の高い金融サービスとしての地位を確立するとともに、金融インフラとしての重要性が増している。

(注1)アクティブなモバイルマネーアカウントは、本稿では、過去90日間に取引実績のあったモバイルマネーアカウントを指す。

(注2)銀行の支店やATM以外の金融サービスを提供する取引場所を指す。これによって、金融機関に正式な口座を持たない者も金融サービスにアクセスできる。

(柴田北斗)

(ガーナ)

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