ノルウェー企業が米ミシガン州に水電解槽製造工場設立へ、最大4億ドルの投資

(米国、ノルウェー)

シカゴ発

2023年05月08日

米国ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー知事(民主党)は5月3日、米国商務省主催の対米投資プログラム「セレクトUSA投資サミット」で行われた会見で(2023年5月8日記事参照)、ノルウェーの水素技術関連企業であるネル・ハイドロジェンが、同州に水電解槽製造工場を設立すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

ネルは、電気分解によって水と再生可能エネルギーから水素を生成する電解槽の製造と、自動車用の水素燃料供給装置の製造を専門としている。新工場の設立に伴い、同社は最大4億ドルの設備投資を行い、500人以上の雇用を創出する見込みだ。また、新工場は、最大4ギガワットのアルカリおよびプロトン交換膜(PEM)電解槽の生産能力を持つ、米国初の液体アルカリ電解槽製造装置の製造施設となる予定だ。同社は現在、ミシガン州内で候補地を検討している。

ウィットマー知事は、2023年1月に投資ミッションを率いてノルウェーとスイスを訪問した際、ネルに同州の投資環境を説明していた。ネルは1年かけて、新工場の立地先としてさまざまな州を検討し、最終的にミシガン州を選んだとのことだ。同社のホーコン・ボルダル最高経営責任者(CEO)は「財政的な優遇措置、高度なスキルを持つ労働力へのアクセス、大学や研究機関、戦略的パートナーとの協力関係などを総合的に分析し、同州に決定した」と述べた。なお、同社は2022年11月に、ゼネラルモーターズ(GM)と、PEM電解槽プラットフォームの産業化を加速するために、共同開発契約を締結している。

米国エネルギー省(DOE)は、「2035年までに100%クリーンな電力網を構築し、2050年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにする」という目標を達成するために、クリーン水素(注)の製造、加工、供給、貯蔵、最終利用が極めて重要と位置付けている。同省は現在、全米にクリーン水素のネットワークの基盤となる6~10カ所の「水素ハブ」の設立に向け取り組みを進めており、ミシガン州は水素ハブとして選ばれる機会を狙っている。

(注)製造過程で、水素1キロ当たり4キロ以上のCO2を排出しないもの。

(星野香織)

(米国、ノルウェー)

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